トヨタとBMWのZ4とスープラは共同開発された兄弟車として知られていますが、その関係性や具体的なスープラとZ4の違いについて、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。クーペとオープンカーという外観の違いだけでなく、エンジン性能や馬力、走行性能、さらには内装や荷室、シートアレンジといった実用面、そして値段や価格設定、気になる故障のリスク、最新の安全装備まで、比較すべき点は多岐にわたります。購入で失敗や後悔をしないためには、両車のキャラクターの違いを正確に理解することが不可欠です。
この記事では、これらの要素を網羅的に比較・解説し、あなたが理想の一台を選ぶための判断材料を分かりやすく提供します。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
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スープラとZ4の基本的な関係性と開発背景
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外観や内装、価格といった目に見える違い
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エンジン性能や走行フィーリングの技術的な差異
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安全装備や維持費など購入後のカーライフに関わる要素
スープラとZ4の基本的な違いを5つの視点で比較
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トヨタとBMWのZ4とスープラは共同開発ですか?
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兄弟関係にあるスープラとZ4の関係は?
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クーペとオープンで異なる外観の比較
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スープラとZ4の内装・荷室・シートアレンジ
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BMWとスープラの値段や価格設定の違い
トヨタとBMWのZ4とスープラは共同開発ですか?
はい、トヨタ スープラとBMW Z4は、トヨタ自動車とBMWグループの包括的な協業によって共同開発されたモデルです。このプロジェクトは2012年に両社が結んだ提携合意から始まり、スポーツカー分野における共同開発をテーマの一つとして進められました。
この提携の背景には、スポーツカー市場の縮小や開発コストの高騰といった課題があります。単独で新型スポーツカーを開発するのは、ビジネス的に大きなリスクを伴う時代になりました。そこで、トヨタはFR(後輪駆動)スポーツカーと直列6気筒エンジンに関する豊富な知見を、BMWはプレミアムオープンカー開発における高い技術力と経験を持ち寄り、互いの強みを活かすことで開発効率を高めるという目的がありました。
具体的には、プラットフォーム(車体の基本骨格)やエンジン、トランスミッションといった主要なコンポーネントを共有しています。開発の実務や設計の多くはBMWが主導し、トヨタは企画段階から参画し、特にスープラとしての味付けや最終的なセッティングにおいて深く関与しました。このように、両社が協力することで、それぞれが理想とするスポーツカーを現代に蘇らせることが可能になったのです。
兄弟関係にあるスープラとZ4の関係は?
前述の通り、スープラとZ4は共同開発によって誕生したため、車好きの間では「兄弟車」として広く認識されています。プラットフォームやエンジンといった根幹部分を共有していることから、血のつながった兄弟のような関係にあると言えるでしょう。
ただし、これを「同じ車」と捉えるのは早計です。むしろ「育ての親が違う双子」と表現するのが最も的確かもしれません。車の基本構想や骨格の共有を決めた後、トヨタとBMWはそれぞれ別の開発チームを組織しました。そして、トヨタは「スープラ」として、BMWは「Z4」として、各ブランドが目指す理想のスポーツカー像を追求したのです。
トヨタは、歴代スープラの伝統である「直列6気筒エンジンとFRレイアウト」を受け継ぎつつ、ピュアスポーツカーとしての運動性能を極限まで高めることを目指しました。一方のBMWは、Zシリーズの歴史を受け継ぐプレミアム・ロードスターとして、駆けぬける歓びと快適性、そしてオープンエアの開放感を高い次元で両立させることを目標としました。
このため、両車は同じ素材を使いながらも、完成した車のキャラクターは大きく異なります。これがスープラとZ4の関係性の面白さであり、どちらを選ぶか悩む際の最大のポイントにもなっています。
クーペとオープンで異なる外観の比較
スープラとZ4の最も明確な違いは、ボディ形状にあります。スープラが屋根の開かない「クーペ」であるのに対し、Z4は電動で屋根の開閉が可能なソフトトップを備えた「オープンカー(ロードスター)」です。
スープラ:クローズドボディのピュアクーペ
スープラは、クローズドボディを採用することで、非常に高いボディ剛性を確保しています。これにより、高速コーナリング時でも車体のねじれが少なく、ドライバーの意図に俊敏に反応するダイレクトなハンドリングを実現可能です。デザイン面では、ロングノーズ・ショートデッキという古典的なスポーツカーのフォルムを継承しつつ、大きく張り出したフェンダーやダブルバブルルーフが力強く官能的な印象を与えます。
Z4:開放感あふれるプレミアムロードスター
一方のZ4は、時速50km以下であれば走行中でも約10秒で開閉できるソフトトップが最大の特徴です。ルーフを開ければ、風や光を感じながら走るオープンエアドライブという、クーペでは味わえない特別な体験ができます。デザインはBMWの伝統に則った洗練されたもので、伸びやかなシルエットとワイドなキドニーグリルがエレガントでありながらスポーティーな雰囲気を醸し出しています。
ボディサイズの比較
両車のボディサイズに大きな差はありませんが、細かな違いがスタイリングの印象を左右します。
車種 |
全長 |
全幅 |
全高 |
ホイールベース |
トヨタ GRスープラ (RZ) |
4,380mm |
1,865mm |
1,290mm |
2,470mm |
BMW Z4 (M40i) |
4,335mm |
1,865mm |
1,305mm |
2,470mm |
※数値は2024年モデルを参考に記載 |
スープラの方がわずかに長く低いフォルムで、より地面に張り付くようなスポーツカーらしさが強調されています。ホイールベースが共通なのは、同じプラットフォームを使用している証拠です。
スープラとZ4の内装・荷室・シートアレンジ
インテリアデザインは、外観に比べると共通点が多く見られます。両車ともにBMWが主導で設計した水平基調のインストルメントパネルを採用しており、操作系のスイッチ類の配置も似ています。しかし、細部のデザインや素材、そして空間の考え方には各社の哲学が反映されています。
内装デザインとシート
Z4の内装は、BMWの他モデルと同様に、上質な素材を使い、プレミアムブランドらしい高級感と洗練された雰囲気が特徴です。ドライバー側に少し傾けられたセンターコンソールなど、運転に集中できる環境が整えられています。
対するスープラは、よりタイトでスポーティーな空間演出がされています。特に体を包み込むようなホールド性の高いスポーツシートや、コーナリング時に体を支える助手席側のニーパッドが特徴的です。Z4に比べて選択できる内装カラーのバリエーションは少ないですが、走りに特化した機能的なデザインといえます。
荷室(ラゲッジスペース)とシートアレンジ
2シーターのスポーツカーであるため、どちらもファミリーカーのような広い荷室や多彩なシートアレンジは期待できません。しかし、大人2人が旅行に出かける程度の荷物は十分に積載可能です。
スープラの荷室容量は290Lです。ハッチゲート式のバックドアを採用しており、開口部が広く、ゴルフバッグのような長尺物も積める実用性を確保しています。
一方、Z4の荷室容量は281Lで、ルーフの開閉状況にかかわらず容量は変わりません。トランクスルー機能はないものの、日常使いや週末のドライブには十分なスペースです。スープラとの違いとして、Z4は運転席や助手席のシート裏に荷物を置くスペースがほとんどありませんが、スープラは仕切りが緩やかなため、小さな手荷物ならシート裏に置くこともできます。
BMWとスープラの値段や価格設定の違い
新車価格は、全体的にBMW Z4の方がスープラよりも高く設定されています。これは、ブランドイメージの違いや、Z4が電動開閉式ソフトトップという高コストな機構を持つことが主な理由と考えられます。
以下に、最新モデルの主なグレードの新車価格(消費税込み)を比較します。
トヨタ GRスープラ |
価格 |
BMW Z4 |
価格 |
SZ (2.0L 直4) |
5,240,000円 |
sDrive20i M Sport (2.0L 直4) |
7,760,000円 |
SZ-R (2.0L 直4) |
6,240,000円 |
– |
– |
RZ (3.0L 直6) |
7,640,000円 |
M40i (3.0L 直6) |
9,400,000円 |
RZ “45th Anniversary Edition” |
7,940,000円 |
– |
– |
※2024年〜2025年時点のメーカー希望小売価格を参考に記載。時期やモデルにより変動します。 |
同じエンジンを搭載するグレードで比較すると、2.0Lモデル、3.0LモデルともにZ4の方が200万円以上高価です。
この価格差には、装備の違いも影響します。Z4は標準でレザーシートや高品質なオーディオシステムを備えるなど、プレミアムブランドにふさわしい豪華な装備が充実しています。一方、スープラは走りに必要な装備に絞り込み、価格を抑えているグレードもあります。
購入費用を抑えつつ本格的なスポーツ走行を楽しみたいならスープラ、輸入プレミアムブランドのステータスやオープンエアの魅力を求めるならZ4、という選択肢が考えられるでしょう。
走行性能におけるスープラとZ4の違いを徹底解剖
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共通するスープラとZ4のエンジン詳細
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スープラとZ4の馬力はいくつですか?
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セッティングが異なる走行性能の比較
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それぞれに搭載される安全装備の違い
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スープラはBMW製ゆえの故障リスク
共通するスープラとZ4のエンジン詳細
スープラとZ4の心臓部には、BMWが開発・製造を手がける評価の高いエンジンが搭載されています。ラインナップは、スポーティーな2.0L 直列4気筒ターボエンジンと、シルキーな回転フィールが魅力の3.0L 直列6気筒ターボエンジンの2種類です。
3.0L 直列6気筒ターボエンジン (B58型)
両車のトップグレードであるスープラ「RZ」とZ4「M40i」に搭載されるフラッグシップエンジンです。直列6気筒ならではの滑らかで伸びやかな加速感と、背中を押されるような力強いトルクが特徴で、多くのエンジン賞を受賞している名機です。アクセルを踏み込めば官能的なサウンドを奏で、ドライバーを高揚させます。
2.0L 直列4気筒ターボエンジン (B48型)
スープラの「SZ」「SZ-R」、Z4の「sDrive20i」に搭載されるエンジンです。軽量でコンパクトなため、車の前方が軽く、軽快なハンドリングに貢献します。スープラでは、エントリーモデルの「SZ」と、より高出力なチューニングが施された「SZ-R」の2種類が用意されており、走りの好みに合わせて選べるのが特徴です。Z4の「sDrive20i」は、スープラの「SZ」とほぼ同等のスペックで、日常域から高速走行まで扱いやすいパワー特性を持っています。
これらのエンジンは、いずれも無鉛プレミアムガソリン仕様で、組み合わされるトランスミッションは、ダイレクトな変速が可能な8速オートマチックが基本となります。
スープラとZ4の馬力はいくつですか?
スープラとZ4は同じ形式のエンジンを搭載していますが、年次改良やグレードによって最高出力(馬力)と最大トルクの数値は異なります。特にスープラのRZは2020年の改良で大幅にパワーアップしており、中古車を検討する際は注意が必要です。
以下に、現行モデルにおける各グレードのスペックをまとめました。
車種 |
グレード |
最高出力 |
最大トルク |
トヨタ GRスープラ |
SZ |
197PS (145kW) |
320N・m |
トヨタ GRスープラ |
SZ-R |
258PS (190kW) |
400N・m |
トヨタ GRスープラ |
RZ |
387PS (285kW) |
500N・m |
BMW Z4 |
sDrive20i M Sport |
197PS (145kW) |
320N・m |
BMW Z4 |
M40i |
387PS (285kW) |
500N・m |
※数値は2024年〜2025年モデルを参考に記載 |
スープラのトップグレード「RZ」とZ4の「M40i」は、387PSという同じ最高出力を発揮します。これは、自然吸気エンジンであれば5.0Lクラスに匹敵するパワーです。
また、スープラの2.0Lモデルに2種類の出力設定があるのに対し、日本のZ4は1種類のみという点が異なります。よりパワフルな2.0Lモデルを求める場合は、スープラの「SZ-R」が選択肢となります。
セッティングが異なる走行性能の比較
同じ骨格とエンジンを持ちながら、スープラとZ4の乗り味は大きく異なります。これは、両ブランドが目指す「理想の走り」が違うためであり、サスペンションやステアリングのセッティングにその差が明確に表れています。
スープラ:サーキットも視野に入れたピュアスポーツ
スープラは、ホイールベース(前輪と後輪の距離)の短さとトレッド(左右の車輪の距離)の広さを活かし、俊敏な回頭性を追求したセッティングが施されています。サスペンションは硬めに設定されており、路面の情報をダイレクトにドライバーに伝えます。これにより、コーナーを攻めるような場面では、車と一体になるような感覚を味わうことが可能です。特に上位グレードの「RZ」や「SZ-R」には、走行状況に応じてサスペンションの硬さを最適に制御する「AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)」が搭載され、乗り心地と操縦安定性を高いレベルで両立させています。
さらに、2022年からはRZに6速マニュアルトランスミッション(MT)が設定され、車を操る楽しさをより深く追求できるようになりました。
Z4:快適性を両立したグランドツアラー
一方のZ4は、スープラに比べると乗り心地がマイルドで、長距離移動も快適にこなせるグランドツアラー(GT)的な性格が強いです。オープンボディの特性を考慮し、ステアリング操作に対する車の反応はやや穏やかに設定されています。これにより、誰が乗っても安心感があり、上質でリラックスしたドライブを楽しむことができます。もちろん、ひとたびアクセルを踏み込めばBMWらしいスポーティーな走りを見せますが、その挙動は常に洗練されており、荒々しさを感じることはありません。オープンエアの開放感を楽しみながら、優雅にワインディングロードを駆け抜ける、といったシーンが非常によく似合います。
それぞれに搭載される安全装備の違い
現代の車選びにおいて、安全装備は非常に重要な要素です。スープラとZ4は、どちらも先進的な予防安全技術を標準で装備していますが、その名称や機能の一部に違いがあります。
スープラには、「プリクラッシュセーフティ(歩行者・自転車運転者検知機能付衝突回避支援タイプ)」、「レーンディパーチャーアラート」、「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」といった機能を含む予防安全パッケージが標準装備されています。これはトヨタの「Toyota Safety Sense」に相当する充実した内容です。
一方のZ4も、BMWの「ドライビング・アシスト」が標準装備となります。これには、衝突回避・被害軽減ブレーキや、車線逸脱を警告するレーン・ディパーチャー・ウォーニング、後方からの衝突の危険を知らせる後車衝突警告機能などが含まれています。また、縦列・並列駐車をサポートする「パーキング・アシスト」も標準で備わり、運転の負担を軽減します。
基本的な衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱防止支援などは両車に備わっていますが、パーキングアシストや後車への警告機能など、一部の機能はZ4の方が充実している側面もあります。ただし、これらの装備も年次改良によって内容が変わるため、中古車を含めて検討する際は、その車両の装備内容を個別に確認することが大切です。
スープラはBMW製ゆえの故障リスク
「スープラは中身がBMWだから、故障が心配」という声を聞くことがあります。輸入車、特に欧州車に対して、国産車よりも故障が多いというイメージを持つ方は少なくないでしょう。この点について、客観的に考えてみたいと思います。
まず、スープラに搭載されているエンジンやトランスミッションは、BMWの多くのモデルで採用され、世界的に高い評価と実績を持つユニットです。基本的な信頼性は非常に高いと考えてよいでしょう。ただ、国産車とは設計思想や部品の交換サイクルに関する考え方が異なる部分もあります。例えば、ゴム製のパーツやセンサー類などは、経年で性能が低下することを見越して、定期的な交換が推奨されるケースがあります。
注意点としては、万が一故障した際の修理が挙げられます。基本的なメンテナンスは全国のトヨタディーラーで可能ですが、エンジンなどの根幹部分に専門的な診断や修理が必要になった場合、部品は輸入に頼ることになります。そのため、国産車に比べて部品代や修理期間が多少かかる可能性は否定できません。
しかし、これは「壊れやすい」ということとイコールではありません。適切なメンテナンスを定期的に行っていれば、大きなトラブルに見舞われるリスクは低いと考えられます。むしろ、世界基準のパワートレインを搭載したスポーツカーを、全国に広がるトヨタの販売網でサポートを受けながら所有できる点は、大きなメリットとも言えるでしょう。
あなたに合うスープラとZ4の違いまとめ
ここまで解説してきたスープラとZ4の違いをまとめます。どちらの車があなたのライフスタイルや価値観に合っているか、最終的な判断の参考にしてください。
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スープラとZ4はトヨタとBMWが共同開発した兄弟車
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車の基本骨格であるプラットフォームやエンジンは共通
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スープラは屋根が開かないクローズドボディのクーペ
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Z4は電動ソフトトップを備えたオープンロードスター
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外観デザインは各社の個性が強く反映され全く異なる
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内装は基本レイアウトが似ているが質感や演出に差がある
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スープラの内装はよりタイトでスポーティーな雰囲気
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Z4の内装はプレミアムブランドらしい上質な仕立て
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新車価格は装備やブランド価値によりZ4の方が高価
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エンジンは3.0L直6ターボと2.0L直4ターボの2種類
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RZとM40iの3.0Lエンジンは387馬力を発揮
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走行性能はスープラがより機敏なピュアスポーツ志向
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Z4の走行性能は快適性も重視したグランドツアラー志向
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スープラのRZには6速マニュアルトランスミッションの設定がある
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先進安全装備は両車ともに充実している
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故障リスクは過度に心配する必要はないが輸入車としての理解は必要