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NSXの駆動方式とは?歴代モデルが示す進化の軌跡

「nsx 駆動 方式」と検索されたあなたは、ホンダが世界に誇るスーパースポーツ、NSXの技術的な深淵に興味をお持ちのことでしょう。この伝説的なモデルは、単なる速い車ではなく、常にその時代の最先端技術を搭載し、「新しいスポーツ体験」を追求してきた存在です。この記事では、NSXの魅力を深く理解するために不可欠な、その駆動方式の変遷について、余すところなく解説いたします。

NSXの開発は、ホンダがF1で培った技術と情熱を市販車に注ぎ込み、「世界に通用するHondaの顔」を創り出すという壮大なビジョンから始まりました。その初代NSX NA1は、革新的な「人間中心のスーパースポーツ」というコンセプトのもと、唯一無二のミッドシップレイアウトを採用し、自動車業界に大きな衝撃を与えたのです。

この記事では、まず初代 NSX 駆動 方式の細部に迫り、なぜホンダがミッドシップという選択をしたのか、その理由とそれがもたらした走行性能について詳しく紐解いてまいります。そして、長きにわたるNSX 歴代モデルの進化の中で、特に2代目となる新型NSXの登場がいかに駆動方式に革新をもたらしたのか、初代NSXと新型NSX 駆動方式 比較を通じて明確にしていきます。

さらに、新型NSX エンジン 違いや、新型NSX スペック 初代 進化といった具体的な変更点が、ドライビングフィールにどのような影響を与えたのかも掘り下げて考察します。ホンダがNSXを通じて追求し続けてきた「意のままに操る喜び」が、時代と共にいかに形を変えてきたのか、その技術的な進化の軌跡をたどることで、NSXが現代にもたらす「新しいスポーツ体験」の真価をご理解いただけることでしょう。

✅ 初代NSXが採用したミッドシップ・リアドライブ(MR)の駆動方式とその目的
✅ 2代目NSXが導入したハイブリッド4WDシステム
 (SPORT HYBRID SH-AWD)の革新性
✅ NSXの駆動方式が「人間中心のスーパースポーツ」というコンセプトに
  どう貢献してきたか
✅ 歴代NSXの駆動方式が時代とともにどのように進化してきたか

NSXの駆動方式とは?その歴史

✅ NSX誕生の背景とコンセプト
✅ 初代NSX NA1の駆動方式
✅ 初代NSXミッドシップの真髄
✅ 軽量ボディとNAエンジンの融合
✅ NSX歴代モデルの変遷

NSX誕生の背景とコンセプト

ホンダがNSXの開発に着手したのは、1980年代半ばのことでした。当時、ホンダはF1世界選手権にエンジンサプライヤーとして参戦し、輝かしい成績を収めていました。その中で「世界に通用するHondaの顔を持ちたい」という強い願いが生まれ、F1で培った最先端技術を市販車にフィードバックした、高性能なスポーツカーの開発が決定されたのです。

このプロジェクトにおいて、ホンダが掲げたコンセプトは「人間中心のスーパースポーツ」というものでした。当時の多くのスーパーカーは、その高性能ゆえにドライバーに高い運転技術や特別な覚悟を要求する、ある意味で「車中心」の設計思想が主流でした。しかし、NSXはそうではありません。ホンダは、レーシングドライバーだけでなく、一般のドライバーでも日常的に快適に、そして意のままに操れるスーパーカーを目指しました。

例えば、コックピットの設計には戦闘機のキャノピーをモチーフにした広い視界が取り入れられました。これにより、従来のスーパーカーにありがちな狭い視界による運転のしにくさが解消されています。また、広めの室内空間や適切な乗り降りのしやすさ、操作しやすいコントロール類の配置など、快適性と実用性を両立させるための細やかな配慮がなされています。こうした「人間中心」の設計思想は、後のNSXの代々へと受け継がれていく、重要なDNAとなったのです。

初代NSX NA1の駆動方式

初代NSX(NA1型)の駆動方式は、ミッドシップ・リアドライブ(MR)が採用されています。これは、エンジンを車体中央、具体的には運転席の後方に横置きで配置し、後輪を駆動する方式です。このレイアウトは、単にエンジンを積む場所として選ばれたわけではありません。卓越した操縦安定性と俊敏性を実現するための必然的な選択でした。

MRレイアウトは、前後の重量配分を理想的な約40:60に近づけることを可能にします。これにより、車両が旋回する際の慣性モーメントが小さくなり、まるでドライバーの手足のように軽快に車が向きを変える、優れた回頭性を発揮します。また、エンジンを縦置きではなく横置きにすることで、小型化と軽量化が図られ、トランスミッションを含めて車軸間に収めることができました。これも、操縦安定性の向上に大きく貢献しています。

さらに、このMRレイアウトは、フロントエンジン・リアドライブ(FR)車に不可欠なプロペラシャフトを不要にします。これにより、駆動系の構造がシンプルになり、大幅な軽量化が実現できました。いくら高性能なエンジンを搭載しても、車体が重ければその性能を最大限に引き出すことはできません。このため、ホンダはNSXにおいて「軽さ」を極めて重視しました。

ただし、MR車は一般的に運動性能に優れる反面、挙動がピーキーになりやすいという特性も持ち合わせています。しかし、初代NSXは、徹底した重量配分の最適化と、後述するオールアルミモノコックボディによる高い剛性、さらには先進的なTCS(トラクションコントロールシステム)の採用によって、ピーキーになりがちなMR車の挙動を穏やかにしています。これにより、プロのドライバーはもちろんのこと、一般のドライバーでも安心して、そして意のままに操れるハンドリング特性が実現されたのです。これが、初代NSXが「新しいスポーツ体験」を提供できた大きな理由の一つです。

初代NSXミッドシップの真髄

初代NSXが採用したミッドシップレイアウトは、単にエンジンを中央に配置しただけではありません。それは、車両の運動性能を最大化し、ドライバーに「意のままに操る」感覚を与えるための、ホンダの徹底した哲学が詰まった設計思想そのものだったと言えます。ミッドシップは、車両の前後軸に対して重量物を集中させることができるため、慣性モーメントを小さく抑えることが可能です。これにより、ステアリングを切った瞬間に車が素早く向きを変え、ドライバーの操作に遅れることなく反応する、優れた回頭性を実現しています。

多くのスーパーカーが縦置きエンジンを採用する中で、NSXはV型6気筒エンジンを横置きで配置しました。これには明確な理由があります。横置きにすることで、エンジンの全長を短縮でき、トランスミッションを含めたパワートレイン全体をホイールベース内に収めることが可能になりました。こうすれば、重量物を車両の中心にさらに集めることができ、旋回性能を一層高めることができます。言い換えれば、これは単なるパッケージング上の都合ではなく、運動性能を追求した結果の選択なのです。

その中で、ミッドシップレイアウトは、アクセルを踏み込んだ際に後輪に強くトラクションがかかるという特性を持っています。これは、加速時にリアタイヤが路面をしっかりと捉え、力強い発進や加速を可能にするというメリットにつながります。一方で、アクセルオフ時には車がクイックに曲がり込む特性も持ち合わせています。初代NSXは、このようなミッドシップの特性を熟知した上で、サスペンションセッティングやTCS(トラクションコントロールシステム)といった電子制御と組み合わせることで、ピーキーになりがちな挙動を抑え、誰もが安心してその高性能を引き出せるように設計されました。この徹底した追求こそが、初代NSXのミッドシップの真髄と言えるでしょう。

軽量ボディとNAエンジンの融合

初代NSXのもう一つの大きな特徴は、その徹底的な軽量化にあります。量産車としては世界で初めて、オールアルミモノコックボディを採用したのです。一般的な鋼板ボディに比べて、車体だけで約140kgもの軽量化を達成し、車両全体では約200kgの減量に成功しています。この軽量化は、単に車両の軽さを追求しただけでなく、同時に高いボディ剛性を両立させている点が画期的でした。剛性が高ければ、サスペンションが設計通りの動きをし、タイヤが常に路面を捉えることで、優れた操縦安定性と運動性能を発揮します。

そして、この軽量なボディと組み合わされたのが、ホンダがF1で培った技術の結晶である、自然吸気(NA)VTECエンジンです。当初は2.0L直列4気筒の搭載も検討されましたが、最終的には3.0L V6 DOHC VTECのC30A型エンジンが採用されました。このエンジンは、最高出力280PSを7,300rpmで発生させ、レッドゾーンは8,000rpmという超高回転型でした。1997年には3.2LのC32B型に排気量が拡大され、最大トルクが向上しています。

当時のスポーツカー業界では、高出力を得るためにターボチャージャーによる過給が主流になりつつありました。しかし、ホンダはあえて自然吸気を選んでいます。なぜなら、ターボラグと呼ばれる過給機のレスポンス遅延を嫌い、アクセル操作に対してリニアに反応する、ドライバーの感性に訴えかけるフィーリングを重視したからです。このエンジンは、アクセルペダルを踏み込んだ時に、まるでドライバーの足の延長線上にあるかのように自然にトルクが立ち上がり、高回転域まで淀みなく吹け上がります。

このように、軽量なオールアルミボディが運動性能の基礎を築き、そしてリニアな反応を示すNAエンジンがドライバーとの一体感を深める。この二つの要素が融合することで、初代NSXは「まるで手足のように扱える」という唯一無二のドライビングプレジャーを提供しました。これは、単なる最高出力の追求ではなく、ホンダが目指した「人間中心」のスポーツカーの理想を具現化した結果なのです。

NSX歴代モデルの変遷

ホンダNSXは、1990年の初代(NA1型)発売から2005年の生産終了まで、そして2016年の2代目(NC1型)復活と、その歴史の中でいくつかの重要な変遷を遂げてきました。これらの変遷は、常に時代ごとの技術の進化を取り入れながらも、「人間中心のスーパースポーツ」というNSXの核となるコンセプトは一貫して継承されています。

初代NSXは、販売開始から2005年までの16年間、フルモデルチェンジを行うことなく製造されました。この期間には、いくつかのマイナーチェンジが行われています。例えば、1992年には、よりスパルタンな走行性能を追求した「タイプR」が追加されました。タイプRは、徹底的な軽量化と足回りの強化が施され、サーキット走行を視野に入れたモデルとして、その性能をさらに研ぎ澄ませています。

また、1997年のマイナーチェンジでは、MT仕様車のエンジンが3.0LのC30A型から3.2LのC32B型へと排気量が拡大されました。これに伴い、トランスミッションも5速MTから6速MTへと変更されています。この排気量アップは、最高出力こそ変わらなかったものの、最大トルクの向上に繋がり、より力強い加速性能を実現しました。AT仕様車はトルクコンバーターの都合上、3.0Lのままでしたが、それでも快適性とスポーツ走行の両立を目指していました。

2001年には、外観デザインが大きく変更され、固定式ヘッドライトが採用されました。これは、衝突安全性と空力性能の向上、そしてフロントの重量軽減を目的としたものです。このように、初代NSXは、長期にわたる生産期間の中で、エンジンの改良、トランスミッションの多段化、そしてボディデザインの変更など、細部にわたる進化を遂げてきました。

そして、2016年には、実に11年の時を経て2代目NSX(NC1型)が復活を遂げます。この2代目は、初代のミッドシップ・リアドライブというシンプルな駆動方式から、V6ツインターボエンジンに3基のモーターを組み合わせた「SPORT HYBRID SH-AWD」という革新的なハイブリッド4WDシステムへと大きく進化しました。この変化は、電動化が加速する現代において、スポーツカーの性能とドライビング体験をどのように再定義するかという、ホンダの新たな挑戦を示すものでした。このように、NSXの歴代モデルは、その時代ごとの最先端技術を取り入れながら、常に「新しいスポーツ体験」を提供し続けているのです。

進化するNSXの駆動方式

✅ 新型NSX駆動方式比較
✅ 新型NSXエンジン違い
✅ 新型NSX:初代からのスペック進化
✅ SH-AWDがもたらす新しい体験
✅ 日常と非日常を繋ぐ駆動技術
✅ NSXリフレッシュプランと文化継承

新型NSX駆動方式比較

2016年に登場した新型NSX(NC1型)は、初代NSX(NA1/NA2型)とは全く異なる駆動方式を採用しており、その進化は目覚ましいものがあります。初代がミッドシップ・リアドライブ(MR)という、シンプルかつ純粋な後輪駆動スポーツカーの理想を追求したのに対し、新型NSXは「SPORT HYBRID SH-AWD」という先進的なハイブリッド4WDシステムを導入しています。

初代NSXのMR方式は、エンジンを運転席後方に横置きで配置し、その動力を後輪のみに伝えるものでした。これは、車両の重心を中央に集中させ、優れた回頭性とダイレクトな操縦感覚を生み出すことに貢献していました。しかし、新型NSXのSPORT HYBRID SH-AWDは、V型6気筒ツインターボエンジンを縦置きでミッドシップに搭載し、これに3基のモーターを組み合わせることで、四輪を駆動します。

具体的には、エンジンと後輪を駆動するモーターが同軸上に1基(ダイレクトドライブモーター)配置され、さらに左右の前輪それぞれに独立したモーターが2基(ツインモーターユニット:TMU)搭載されています。この構成により、それぞれのモーターが独立して駆動力を制御できる「トルクベクタリング機能」が、新型NSXの操縦性能を飛躍的に向上させています。

たとえば、旋回時には、左右の前輪モーターが独立してトルクを制御することで、車の向きを積極的に変える「ヨーモーメント」を発生させます。これにより、まるでレールの上を走るかのような、意のままのライントレースが可能になります。初代のMRが「物理的な軽さとバランス」で意のままを追求したとすれば、新型のSH-AWDは「電気モーターによる精密なトルク制御」で、さらに高次元な「意のまま」を実現していると言えるでしょう。この駆動方式の根本的な違いが、両者のドライビングフィールを決定的に分けています。

新型NSXエンジン違い

新型NSX(NC1型)と初代NSX(NA1/NA2型)では、搭載されるエンジンの種類と構造が大きく異なります。これは、それぞれのモデルが追求した性能や時代背景の違いを明確に示しています。

初代NSXのエンジンは、ホンダがF1で培った技術を市販車に転用した、自然吸気(NA)のV型6気筒DOHC VTECエンジンでした。初期のNA1型には3.0LのC30A型が、後期のNA2型には3.2LのC32B型が搭載されています。これらのエンジンは、最高出力こそ当時の自主規制枠内の280PSでしたが、最大の特徴は、8,000rpmに迫る高回転まで淀みなく吹け上がるリニアなレスポンスと、VTEC機構による高効率な吸排気でした。ターボラグのないダイレクトな加速感は、多くのドライバーから「手足のように扱える」と評され、アナログなドライビングプレジャーの極みを提供しました。

一方、新型NSXに搭載されているのは、新開発の3.5L V型6気筒ツインターボエンジンです。このエンジン単体でも高性能ですが、新型NSXのパワートレインの核となるのは、前述の通り、このツインターボエンジンに3基の電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムです。エンジンは縦置きで配置され、後輪を駆動するとともに、ダイレクトドライブモーターと連携します。そして、左右の前輪にはそれぞれ独立したツインモーターユニット(TMU)が配置されることで、システム合計出力は初期モデルで581PS、最終モデルのType Sでは610PSにも達します。

このエンジンの違いは、単なる排気量や出力の差に留まりません。初代が自然吸気の「官能的な吹け上がり」を重視したのに対し、新型はツインターボによる「圧倒的なトルクとハイブリッドの即応性」を追求しています。モーターがエンジンの苦手な低回転域をアシストすることで、アクセルを踏み込んだ瞬間から最大トルクが立ち上がり、途切れることのない強烈な加速を実現します。つまり、初代は「エンジンそのものの性能とフィーリング」に重点を置いたのに対し、新型は「エンジンとモーターの組み合わせによる総合的なパフォーマンスと効率」を追求しているのです。これは、スポーツカーの進化の方向性を象徴する大きな違いと言えるでしょう。

新型NSX:初代からのスペック進化

新型NSX(NC1型)は、初代NSX(NA1/NA2型)から数々のスペックにおいて飛躍的な進化を遂げています。これは、単に高性能化を目指しただけでなく、時代とともに変化するスーパースポーツの価値観や、技術の進歩を積極的に取り入れた結果と言えるでしょう。

まず、最も顕著な違いはパワートレインの総合出力です。初代NSXの最高出力は、3.0Lまたは3.2Lの自然吸気V6エンジンで280PS(MT車)でした。これに対し、新型NSXは3.5L V6ツインターボエンジンと3基の電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムにより、初期モデルで581PS、そして最終モデルのType Sでは610PSという圧倒的なシステム合計出力を誇ります。この数値は、初代の約2倍にも達し、0-100km/h加速は約3秒フラットという、まさに異次元の加速性能を実現しています。

次に、トランスミッションにも大きな進化が見られます。初代は5速MTまたは4速ATという選択肢でしたが、新型は9速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を搭載しています。多段化されたDCTは、モーターアシストによって変速ショックが極限まで抑えられ、シームレスかつ力強い加速を途切れなく提供します。また、Type Sでは、パドルホールドダウンシフト機能が追加され、よりアグレッシブなドライビングをサポートしています。

車両重量に関しては、初代がオールアルミモノコックボディによって1,350kg~1,390kgと非常に軽量だったのに対し、新型NSXはハイブリッドシステムや補器類の追加により1,780kg~1,790kgと重量が増しています。しかし、この重量増は、後述するSPORT HYBRID SH-AWDによる精密な電子制御と、圧倒的なパワーによって補われ、あるいは凌駕する運動性能を実現しています。

さらに、初代は前後異径タイヤの採用などが行われましたが、新型では足回りにも大幅な改良が加えられています。例えば、2019年モデルではスタビライザーやブッシュ、ハブの剛性強化が行われ、より洗練されたハンドリング性能を獲得しています。このように、新型NSXは、パワートレインからシャシー、そして電子制御に至るまで、初代から数段上のスペックを提示し、スーパースポーツの新たな基準を打ち立てているのです。

SH-AWDがもたらす新しい体験

新型NSXに搭載された「SPORT HYBRID SH-AWD」は、単なる4WDシステムではありません。それは、ドライバーにこれまで経験したことのない「新しいスポーツ体験」をもたらすための、ホンダ独自の革新的な技術の結晶と言えるでしょう。

このシステムの中核をなすのは、前述の通り、左右の前輪に独立して配置された2基のモーター(ツインモーターユニット:TMU)によるトルクベクタリング機能です。従来の機械式4WDシステムでは実現が困難だった、左右のタイヤに対する駆動力をミリ秒単位で独立制御することが可能になりました。

具体的に、このトルクベクタリング機能がどのような「新しい体験」をもたらすかをご説明します。例えば、コーナーへの進入時(ターンイン)には、内側の前輪モーターにマイナスのトルク(回生)を与え、外側よりも回転を抑えることで、車両を積極的に内側へ向けようとする「ヨーモーメント」を発生させます。これにより、ステアリングを切り込んだ瞬間に、車が吸い付くようにコーナーのイン側へ向かっていく感覚を味わうことができます。これは、まるでドライバーの意識がそのまま車両の挙動に直結するような、極めて自然で正確な回頭性を生み出します。

そして、コーナーリング中や立ち上がりでは、旋回外側の後輪と前輪にプラスのトルクを与えつつ、最適なトルク配分を行うことで、車両の姿勢を安定させながら力強く加速することができます。これにより、ドライバーは限界領域で、車が路面に吸い付いているかのような「オン・ザ・レール」感覚でコーナリングを愉しむことが可能です。従来のスポーツカーでは、高度な運転技術を要した繊細なアクセルワークやステアリング操作が、SH-AWDによってより多くのドライバーにとってアクセスしやすいものとなりました。

また、新型NSXには、QUIET、SPORT、SPORT+、TRACKといった4つの走行モードが用意されています。これらのモードは、単にエンジンの出力特性を変えるだけでなく、SH-AWDのトルクベクタリングの制御量や、アクティブダンパーシステムの減衰特性、9速DCTの変速ロジックなどを複合的に変化させます。これにより、静かな市街地走行から、ワインディングでのアグレッシブな走り、さらにはサーキットでのラップタイムアタックまで、あらゆるシーンでドライバーが求める「意のまま」のドライビングフィールをパーソナライズして提供します。

つまり、SH-AWDは、物理的な限界を超えて、電気モーターの即応性と精密な制御能力を最大限に活用することで、誰でも安全に、かつダイナミックに「曲がる」ことができる、新時代のスポーツ体験を提案しているのです。これは、初代NSXがアナログな手段で追求した人車一体感を、デジタル技術によってさらに高次元で実現しようとするホンダの哲学の進化を象徴していると言えるでしょう。

日常と非日常を繋ぐ駆動技術

NSXの駆動技術は、単にサーキットでの速さや限界性能を追求するだけでなく、「日常と非日常」という相反する要素を高次元で融合させることを目指しています。これは、初代から2代目へと受け継がれるNSXの重要なコンセプトの一つであり、ホンダが「人間中心のスーパースポーツ」と謳う所以でもあります。

初代NSXにおいては、ミッドシップ・リアドライブ(MR)という、本来であればピーキーになりがちな駆動方式を採用しながらも、徹底したシャシーチューニングとTCS(トラクションコントロールシステム)のような電子制御を組み合わせることで、日常域での扱いやすさを追求しました。例えば、前述の通り、広大な視界や快適なコックピット空間、そして乗り降りのしやすさといった要素は、この「毎日乗れるスーパーカー」という目標を具現化するためのものです。その中で、ワインディングロードではスポーツカーらしい俊敏な走りを楽しめ、高速道路では安定したクルージング性能を発揮する。このように、ドライバーが運転シーンを選ばず、常に「意のままに操る」感覚を味わえるよう設計されていました。

一方、2代目NSXのSPORT HYBRID SH-AWDは、この「日常と非日常の融合」をさらに高いレベルで実現しています。特に顕著なのが、ハイブリッドシステムによる走行モードの多様性です。例えば、「QUIETモード」を選択すれば、主にモーター駆動で静かに発進・走行し、低速域ではEV走行も可能です。これは、早朝の住宅街や深夜の帰宅時など、周囲への配慮が必要な日常シーンにおいて、スーパースポーツとは思えないほどの静粛性と快適性を提供します。まるで一般的なセダンやSUVに乗っているかのような感覚で、スムーズな移動が可能です。

しかし、一度アクセルを踏み込み「SPORT+モード」や「TRACKモード」を選択すれば、V6ツインターボエンジンと3基のモーターが連携し、システム合計610PSという圧倒的なパワーを瞬時に引き出します。このとき、前輪のトルクベクタリング機能が最大限に活かされ、高次元のコーナリング性能と強烈な加速を実現します。これは、サーキットやクローズドコースといった非日常の舞台で、ドライバーのスポーツマインドを最大限に高めるためのものです。

このように、NSXの駆動技術は、単なる動力伝達の手段ではなく、ドライバーが求める「走り」の質を、日常から非日常まで自在に変化させるための制御システムとして機能しています。まさに、一本のペダルと一つのステアリングで、全く異なる二つの体験を提供できることが、NSXの駆動技術がもたらす最大の魅力と言えるでしょう。

NSXリフレッシュプランと文化継承

NSXリフレッシュプランは、単なる修理プログラムという枠を超え、ホンダが伝説的な名車であるNSXを「新車の状態」に蘇らせ、未来へとその価値を継承していくための、情熱的な「投資」であり、自動車文化を次世代に繋ぐホンダの揺るぎない「責任」の証であると結論付けます。

多くのスポーツカーが時の流れと共に価値を失い、やがては朽ちていく運命にある中で、NSXは特別な存在であり続けています。初代NSXは、1990年から2005年までという長期間にわたり生産されましたが、その特殊性から生産は全て手作業で行われ、その製造工程もまた、特別なものでした。しかし、どんなに丁寧に作られた車であっても、経年劣化は避けられません。ボディの歪み、塗装の劣化、エンジンの摩耗、そして電気系統のトラブルなど、長期にわたる使用によって様々な問題が発生します。

このような状況に対し、ホンダはNSXオーナーが安心して長く乗り続けられるよう、「NSXリフレッシュプラン」を提供しています。このプランでは、生産終了後も、かつてNSXを生産していた工場へ車両を戻し、新車時の性能や質感を蘇らせることを目的としています。具体的には、ボディの骨格修正、塗装の全面的な再施工、エンジンのオーバーホール、足回りの交換、電装系の修理・交換など、多岐にわたる項目が用意されています。これらの作業は、NSXの特性を熟知した熟練の職人によって、手作業で丁寧に行われます。これは、単純な部品交換に留まらず、NSXが持つ本来の性能と美しさを取り戻すための、高度なレストア作業と言えるでしょう。

なぜホンダは、採算度外視とも思えるこのリフレッシュプランを継続するのでしょうか。その理由は、NSXがホンダにとって単なる「商品」ではなく、「夢の象徴」であり、自動車メーカーとしての技術と情熱を体現する「文化財」としての価値があるからです。NSXは、バブル景気絶頂期に「世界に通用するHondaの顔を持ちたい」という願いから開発され、その先進性と「人間中心」の哲学は、自動車業界に大きな影響を与えました。このプランは、NSXという名車を現代に、そして未来へと繋ぎ、自動車を愛するすべての人々にその存在意義を伝え続けるための、ホンダの強い意志の表れです。

このように、NSXリフレッシュプランは、過去の栄光を維持するだけでなく、未来の自動車文化を創造し、継承していくという、ホンダの深い責任感と情熱を示すものなのです。

NSX駆動方式の全体像と進化

・NSXはF1技術を市販車へ応用する願いから開発された。

・「人間中心のスーパースポーツ」がコンセプトであった。

・初代NSXはミッドシップ・リアドライブ(MR)方式を採用した。

・MRは理想的な重量配分と優れた回頭性を実現した。

・横置きエンジンで運動性能とパッケージングを両立させた。

・オールアルミモノコックボディで大幅な軽量化と高剛性を達成した。

・自然吸気VTECエンジンはリニアなレスポンスを重視した。

・初代は長期生産中にエンジン排気量拡大や外観変更が行われた。

・2代目NSXはSPORT HYBRID SH-AWDを導入した。

・新型はツインターボエンジンと3モーターのハイブリッドシステムを搭載した。

・SH-AWDは前輪の独立モーターで精密なトルクベクタリングを実現した。

・新型は圧倒的なシステム出力と多段DCTで加速性能が向上した。

・走行モード選択で日常から非日常まで対応する。

・NSXリフレッシュプランは名車の文化継承を目的としている。

・NSXは常に「新しいスポーツ体験」を追求し続けている。

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