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【シビック タイプRの歴代型式】全モデル徹底解説!

歴代シビックタイプR全7世代が並んだ画像。初代EK9から最新FL5までの進化が一目でわかる。

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ホンダの魂とも言える赤バッジ、シビック タイプR。その響きに胸を躍らせるファンは少なくないでしょう。

しかし、一口にシビック タイプr 歴代 型式と言っても、その個性は多岐にわたります。この記事では、シビックタイプr 歴代 一覧を網羅し、伝説の始まりであるシビックタイプr 初代 EK9から、英国生まれのシビックタイプr 2代目 EP3、唯一のセダンであるシビックタイプr 3代目 FD2、個性的なデザインのシビックタイプr 4代目 FN2、ターボ時代を切り開いたシビックタイプr 5代目 FK2、ニュルの王者に君臨したシビックタイプr 6代目 FK8、そして最新のシビックタイプr 7代目 FL5まで、そのすべてを深掘りします。

シビックタイプR歴代 スペック 比較を通じて各モデルの違いを明らかにし、どのモデルがシビックタイプR歴代 人気モデルなのか、そして注目のシビックtype r FK8 FL5 比較も行います。

さらに、タイプRの心臓部であるシビックtype r VTECエンジン 進化の軌跡を辿り、購入を検討する際に避けては通れないシビックtype r 中古 選び方のポイントや、気になるシビックtype r 維持費についても、具体的で分かりやすい情報をお届けします。あなたの理想の一台を見つけるための、完全ガイドがここにあります。

  • 歴代シビックタイプR全型式の特徴と歴史
  • 各モデルのスペックや性能、デザインの違い
  • 人気モデルや後悔しない中古車の選び方
  • 購入前に知っておきたい維持費のリアルな目安

 

シビック タイプRの歴代型式ごとの特徴と進化

  • シビックタイプr 歴代 一覧を総まとめ
  • ピュアスポーツの原点 シビックtype r 初代 EK9
  • 英国生まれの俊足 シビックtype r 2代目 EP3
  • 唯一のセダンボディ シビックtype r 3代目 FD2
  • 近未来デザインの雄 シビックtype r 4代目 FN2
  • VTECターボの衝撃 シビックtype r 5代目 FK2
  • FF最速の称号 シビックtype r 6代目 FK8
  • 最新にして究極の存在 シビックtype r 7代目 FL5
  • 圧巻のシビックtype r 歴代 スペック 比較
  • シビックtype r 歴代 人気モデルはどれ?

シビックタイプR歴代 一覧を総まとめ

ホンダのレーシングスピリットを市販車へと昇華させた究極の称号、「タイプR」。その名を冠したシビックは、1997年の衝撃的なデビューから今日に至るまで、FF(前輪駆動)スポーツカーの歴史そのものを牽引し続ける孤高の存在です。ここでは、四半世紀以上にわたって紡がれてきた、歴代シビックタイプRの輝かしい血統を、一目で把握できるよう一覧表にまとめました。

それぞれのモデルが、どのような時代の要請を受け、いかなる技術的革新を武器に進化を遂げてきたのか。NA(自然吸気)エンジンの咆哮からVTECターボの圧倒的な加速力へ。まずは、そのドラマチックな変遷の全体像を掴んでください。この系譜を知ることで、各モデルの持つ深い魅力と価値がより一層ご理解いただけることでしょう。

世代 (型式) 販売期間 エンジン 最高出力 最大トルク 特徴
初代 (EK9) 1997-2001年 B16B (1.6L NA) 185PS/8,200rpm 16.3kgf·m/7,500rpm 軽量ボディ、超高回転型NAエンジン
2代目 (EP3) 2001-2005年 K20A (2.0L NA) 215PS/8,000rpm 20.6kgf·m/7,000rpm 英国生産、i-VTEC、6速MT
3代目 (FD2) 2007-2010年 K20A (2.0L NA) 225PS/8,000rpm 21.9kgf·m/6,100rpm 唯一の4ドアセダン、サーキット志向
4代目 (FN2) 2009-2012年 K20Z (2.0L NA) 201PS/7,800rpm 19.7kgf·m/5,600rpm 欧州仕様、3ドアハッチバック
5代目 (FK2) 2015-2016年 K20C (2.0L ターボ) 310PS/6,500rpm 40.8kgf·m/2,500rpm VTECターボ初搭載、限定販売
6代目 (FK8) 2017-2021年 K20C (2.0L ターボ) 320PS/6,500rpm 40.8kgf·m/2,500rpm ニュル最速FF、マルチリンクサス
7代目 (FL5) 2022年- K20C (2.0L ターボ) 330PS/6,500rpm 42.8kgf·m/2,600rpm 洗練されたデザイン、究極の走行性能

ピュアスポーツの原点 シビックタイプR 初代 EK9

峠道を疾走する初代シビックタイプR EK9。軽量ボディとNAエンジンのピュアな走りを象徴する一枚。

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1997年8月、日本の自動車史に燦然と輝く一台が産声を上げました。それが初代シビックタイプR(EK9)です。このマシンの誕生は、単なる高性能グレードの追加ではありませんでした。それは、シビックを用いたN1耐久レース(現在のスーパー耐久)やワンメイクレースに参戦するプライベーターたちの「もっと速く、もっと戦えるマシンを」という渇望に、ホンダが真正面から応えた結果でした。

心臓部に収められたのは、もはや伝説と化した名機、B16B型 1.6リッターDOHC VTECエンジン。ベースとなったB16A型に対し、ピストン、カムシャフト、クランクシャフトといった主要動弁系パーツを専用設計品へと変更。さらに、量産エンジンとしては異例中の異例である、練工の手作業による吸排気ポートの研磨(ポート研磨)を施すことで、吸排気効率を極限まで高めました。

これらの「職人技」とも言えるチューニングにより、自然吸気エンジンでありながらリッターあたり116馬力に達する185馬力を、8,200rpmという官能的な超高回転域で絞り出したのです。高回転域に切り替わった瞬間の、弾けるようなエンジンサウンドと加速感は、今なお多くのドライバーを虜にしています。

そのパワーを受け止めるシャシーもまた、一切の妥協を排した特別製でした。ベースボディの主要結合部に補強材を追加し、レーシングカーの製作手法である「シーム溶接」を部分的に採用することで、ねじれ剛性を飛躍的に向上。

この強固な土台が、当時のライバルがコスト面から採用を見送っていた、前後4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションの性能を100%引き出すことを可能にしました。路面に吸い付くようなコーナリングと、ドライバーに克明に情報を伝えるダイレクトな操縦感覚は、まさに「公道を走るレーシングカー」そのものです。現代の電子制御に溢れた車では味わうことのできない、機械と対話する濃密な時間こそが、EK9が持つ最大の魅力と言えるでしょう。

EK9の中古車選びの最重要注意点

発売から四半世紀以上が経過し、EK9最大の弱点である「サビ」との戦いは避けて通れません。特に、リアのホイールアーチ、クォーターパネル、サイドシルは、表面上は綺麗に見えても内部で腐食が進行しているケースが多発します。

購入時にはジャッキアップしての下回り確認が必須です。また、エンジンマウントやサスペンションアームのブッシュといったゴム部品は、ほぼ100%性能が劣化していると考え、交換を前提とした予算計画を立てることが、EK9本来の走りを取り戻す上で極めて重要です。

英国生まれの俊足 シビックタイプR 2代目 EP3

2001年、タイプRの歴史は新たなステージへと移行します。2代目シビックタイプR(EP3)は、ホンダのグローバル戦略を色濃く反映した、これまでのタイプRとは一線を画すモデルでした。生産拠点を日本の鈴鹿製作所から英国スウィンドン工場へと移し、主戦場をヨーロッパに見据えて開発されたのです。

そのため、テスト走行は日本の峠道ではなく、速度無制限区間のあるドイツのアウトバーンや、世界一過酷と称されるサーキット、ニュルブルクリンクで徹底的に行われました。この出自こそが、EP3のユニークなキャラクターを形成しています。

エンジンは、タイプRとして初めて2.0リッターへと排気量を拡大した、新世代のK20A型 i-VTECを搭載。従来のVTEC機構に加え、吸気側のカムシャフトの位相を連続的に変化させるVTC(Variable Timing Control)を統合したことで、最高出力は215馬力へと向上。

それ以上に特筆すべきは、EK9が構造的に苦手としていた中速域のトルクが劇的に改善された点です。これにより、高回転を維持せずとも力強い加速が得られるようになり、日常走行における扱いやすさと絶対的な速さを高次元で両立させました。

ラリーカーから着想を得たインパネシフトや、フロントサスペンションがマクファーソンストラット式に変更されたこともEP3の大きな特徴です。EK9の持つ、路面と格闘するようなピュアでスパルタンな乗り味とは異なり、高速域での安定性と長距離移動の快適性を重視した、洗練された「グランドツアラー」的な性格が与えられました。

歴代モデルの中では、その出自から長らく中古車価格が比較的安定していましたが、近年はその優れたバランス性能とコストパフォーマンスが再評価され、価格は上昇傾向にあります。

ライバルは身内にあり - DC5インテグラタイプRとの関係

EP3の販売当時、ホンダには同じK20Aエンジンを搭載しながら、より高出力(220馬力)でサーキット志向の強いDC5型インテグラタイプRが存在しました。この強力な身内の存在が、EP3のキャラクターをより明確にしたと言えるでしょう。刺激的な走りを求めるならDC5、実用性と快適性を兼ね備えたオールラウンダーを求めるならEP3と、明確な棲み分けがなされていました。

唯一のセダンボディ シビックタイプR 3代目 FD2

サーキットに停車する3代目シビックタイプR FD2。歴代唯一の4ドアセダンボディが特徴的なアングル。

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2007年、タイプRの歴史は良い意味でファンを裏切る形で新たな1ページを刻みます。3代目モデル(FD2)は、それまでの3ドアハッチバックという伝統を覆し、シリーズ初にして唯一無二の4ドアセダンとしてその姿を現したのです。

この大胆なボディ形式の変更は、決して実用性への妥協ではなく、むしろ速さを純粋に追求した結果でした。ハッチバックに比べて構造的に剛性を高めやすいセダンボディをベースとし、さらにスポット溶接の増し打ちや構造用接着剤の活用によって、インテグラタイプR(DC5)をさえ凌ぐ静的剛性を実現。

また、ホイールベースの延長は、サーキットでの高速コーナリングにおける絶大な安定性をもたらしました。心臓部には、EP3からさらに熟成とチューニングが重ねられたK20A型エンジンを搭載。吸排気系の効率化や圧縮比の向上により、NA(自然吸気)2.0リッターエンジンとしては驚異的とも言える225馬力(ホンダ公式 2007年広報資料より)を発生させました。その吹け上がりの鋭さと魂を揺さぶるサウンドは、「NAエンジンの集大成」と称賛されています。

FD2の走りのキャラクターは、歴代モデルの中でも突出して硬派かつスパルタンです。サーキットでのコンマ1秒を削り出すためにセッティングされたサスペンションと、当時としては大径の18インチタイヤ(ポテンザRE070)の組み合わせは、路面の微細な凹凸すらドライバーに伝えてきます。

その乗り心地は、公道では「硬すぎる」と感じる場面も少なくありません。しかし、その uncompromising(妥協なき)な姿勢こそがFD2の最大の魅力であり、「家族を乗せることもできる本物のレーシングカー」を求める熱狂的なファンから、今なお絶大な支持を集めています。

FD2は、その過激な性能から「最後のピュアNAタイプR」として神格化されることもあります。ファミリーカーとしての実用性を備えながら、一度ステアリングを握れば全てを忘れて走りに没頭できる。この強烈な二面性こそが、FD2を特別な存在たらしめているのです。

近未来デザインの雄 シビックタイプR 4代目 FN2

3代目FD2が日本国内のサーキットシーンを席巻していた頃、欧州ではもうひとつの「タイプR」が独自の進化を遂げていました。それが、2009年に日本市場にも2,010台限定で正規輸入された4代目(FN2)、通称「タイプRユーロ」です。

EP3と同じく英国のホンダ工場で生産されたFN2は、何よりもまずそのSF的なエクステリアデザインに目を奪われます。ボディ全体がウェッジシェイプ(くさび形)で構成され、フロントからリアまで続くガラスパネル、そして特徴的な三角形のセンターアップマフラーなど、そのスタイリングはまるでコンセプトカーがそのまま市販化されたかのようなオーラを放っています。

エンジンは欧州の環境規制や燃料事情に合わせてデチューンされた2.0リッターのK20Z型を搭載し、最高出力は201PS。FD2に比べるとスペック上は見劣りしますが、実用域でのトルク特性に優れ、扱いやすさが向上しています。

リアサスペンションには、スペース効率に優れるトーションビーム式が採用されました。この点については当時賛否両論を呼びましたが、ホンダの巧みなセッティングにより、しなやかで懐の深いハンドリングを実現しています。サーキット最速という使命を背負ったFD2とは対照的に、FN2は欧州の美しいワインディングロードを、景色を楽しみながら気持ちよく駆け抜けることに主眼を置いたGT(グランドツアラー)的な性格が与えられており、その乗り心地は歴代モデルの中でも随一の快適性を誇ります。

FD2とFN2、どちらを選ぶべきか?

同じ時代に存在したこの2台のタイプRは、まさに光と影、陽と陰のような対照的な存在です。あなたの求めるものが、サーキットでの絶対的な速さとNAエンジンならではの鋭いレスポンスであるならば、選ぶべきはFD2です。一方で、他にはない独創的なデザインと、日常のドライブを快適にこなしながらもワインディングでスポーツカーらしい走りを楽しみたいのであれば、FN2が最高のパートナーとなるでしょう。

VTECターボの衝撃 シビックタイプR 5代目 FK2

2015年、シビックタイプRの歴史、そして世界のホットハッチ市場に激震が走りました。5代目(FK2)の登場です。このモデルがもたらした最大の衝撃は、タイプRが四半世紀にわたって守り続けてきた高回転型自然吸気(NA)エンジンとの決別を果たし、新開発の「K20C型 2.0リッター VTECターボエンジン」を初めて搭載したことでした。

この大胆なパワートレインの転換は、年々厳しくなる欧州の環境規制(ユーロ6)と、ライバル達との熾烈なパワー競争を勝ち抜くための必然的な決断でした。直噴システムとモノスクロールターボ、そして排気側にVTECを組み合わせたこの新世代エンジンは、最高出力310馬力、最大トルク40.8kgf·mという、NA時代のFD2(225馬力/21.9kgf·m)とは比較にならない圧倒的なスペックを獲得。

特に最大トルクは、わずか2,500rpmという低回転で発生し、これまでの「高回転まで回してパワーを絞り出す」というタイプRの常識を根底から覆す、異次元の加速性能を手に入れました。

その獰猛なパワーを制御するため、ボタン一つでエンジン、ステアリング、アダプティブダンパーシステムの特性を瞬時に最も過激な設定へと変化させる「+R」モードを初採用。

この「+R」モードを起動させたFK2は、ドイツのニュルブルクリンク北コースで、当時FF市販車最速となる7分50秒63という驚異的なラップタイムを記録し、その実力を世界に証明しました。日本国内では750台のみの限定販売だったこともあり、現在の中古車市場では極めて希少価値の高いモデルとなっています。

FF最速の称号 シビックtype R 6代目 FK8

ニュルブルクリンクを走行する6代目シビックタイプR FK8。巨大なリアウィングとアグレッシブな空力デザインがFF最速の性能を物語る。

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FK2が切り開いたVTECターボの時代をさらに成熟させ、シビックタイプRの名声を絶対的なものへと押し上げたのが、2017年に登場した6代目(FK8)です。

エンジンはFK2のK20C型をベースに、排気系の効率化や制御の最適化を図り、最高出力は320馬力へと向上。しかし、FK8の真の進化はシャシー性能にありました。最大のトピックは、リアサスペンションに新たにマルチリンク式を採用したことです。

これにより、コーナリング時のタイヤの接地性が劇的に向上し、より高い速度域での安定性とコントロール性を実現しました。さらに、ドライブモードには「+R」「SPORT」に加え、日常使いでの乗り心地を大幅に改善する「COMFORT」モードが追加されました。サーキットでの圧倒的なパフォーマンスはそのままに、街乗りでの快適性をも手に入れたことで、FK8は究極のオールラウンダーへと進化したのです。

その総合力は絶大で、デビュー直後には再びニュルブルクリンク北コースでFF市販車最速ラップを7分43秒80に更新(ホンダ公式 2017年広報資料より)し、世界を驚かせました。

複雑な面構成と巨大なリアウィングを持つアグレッシブなエアロパーツは、すべてダウンフォースを稼ぎ出すための機能に基づいたデザインであり、そのスタイリングは賛否両論を呼びましたが、速さ、快適性、そして実用性のすべてを歴代最高次元で融合させた、FFスポーツの到達点として自動車史にその名を刻んでいます。

世界が認めたグローバル・タイプR

FK8は、初めて本格的にグローバル展開されたシビックタイプRでもあります。生産は引き続き英国で行われましたが、日本、北米、欧州、アジアなど、世界中の市場で販売され、各地で高い評価を獲得しました。まさに世界基準のFFスポーツと言えるでしょう。

最新にして究極の存在 シビックtype R 7代目 FL5

洗練されたデザインが特徴の最新型シビックタイプR FL5。ロー&ワイドで流麗なフォルムが究極の走行性能を予感させる。

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そして2022年9月、これまでのタイプRが築き上げてきた歴史と技術のすべてを注ぎ込み、シリーズの集大成として市場に投入されたのが、現行モデルである7代目(FL5)です。

FL5の最も大きな変化は、そのデザインにあります。FK8の過激で戦闘的なスタイリングから一転、11代目シビックをベースとしたロー&ワイドで流麗なフォルムへと生まれ変わりました。

一見するとシンプルで大人びた印象を受けますが、そのボディパネルのほとんどは専用設計であり、効果的にダウンフォースを発生させるための空力処理が随所に施されています。まさに「羊の皮を被った狼」を地で行く、機能美に溢れたデザインです。

その中身は、もちろん歴代最強。K20C型エンジンはターボチャージャーのブレード形状やハウジングの設計を見直すことで、レスポンスとパワーをさらに向上させ、最高出力330馬力、最大トルク42.8kgf·m(ホンダ公式 2022年広報資料より)へと進化しました。

シャシーやブレーキシステムも徹底的に強化され、鈴鹿サーキット、そしてニュルブルクリンク北コースで、FK8が樹立したFF最速ラップタイムを再び更新してみせました。

インテリアの質感も飛躍的に向上しており、運転に集中できるフルデジタルメーターや、サーキットでの走行データをスマートフォンで記録・分析できる専用アプリ「Honda LogR」といった最新装備も搭載。

まさに、速さと快適性、そして所有する喜びのすべてを最高次元で満たす、究極のFFスポーツと言えるでしょう。ただし、その絶大な人気と半導体不足などの影響が重なり、発売直後から受注が停止するなど、現在では新車・中古車を問わず入手が非常に困難な状況となっています。

圧巻のシビックtype R 歴代 スペック 比較

ここでは、これまで個別に解説してきた歴代シビックタイプRの主要なスペックを、改めて詳細な比較表でご覧いただきます。数字を横並びにして比較することで、各モデルのキャラクターや、時代と共に変化してきた設計思想がより立体的に浮かび上がってきます。

特に注目していただきたいのは、NA最終モデルのFD2から、VTECターボ初搭載のFK2への最大トルクの劇的な変化です。発生回転数も大きく下がり、タイプRの速さの質が根本から変わったことがお分かりいただけるでしょう。また、年々強化される安全基準や装備の充実化に伴い、車両重量が少しずつ増加していく過程も、現代スポーツカーの宿命を物語っています。

スペック表は、その車の「履歴書」のようなものです。数字の裏にある開発者たちの情熱や苦労を想像しながら眺めると、より一層シビックタイプRという車の奥深さを感じられるかもしれませんね。

項目 初代 EK9 2代目 EP3 3代目 FD2 4代目 FN2 5代目 FK2 6代目 FK8 7代目 FL5
販売期間 1997-2001 2001-2005 2007-2010 2009-2012 2015-2016 2017-2021 2022-
エンジン型式 B16B K20A K20A K20Z K20C K20C K20C
種類 1.6L 直4 NA 2.0L 直4 NA 2.0L 直4 NA 2.0L 直4 NA 2.0L 直4 ターボ 2.0L 直4 ターボ 2.0L 直4 ターボ
最高出力 185PS/8,200rpm 215PS/8,000rpm 225PS/8,000rpm 201PS/7,800rpm 310PS/6,500rpm 320PS/6,500rpm 330PS/6,500rpm
最大トルク 16.3kgm/7,500rpm 20.6kgm/7,000rpm 21.9kgm/6,100rpm 19.7kgm/5,600rpm 40.8kgm/2,500rpm 40.8kgm/2,500rpm 42.8kgm/2,600rpm
車両重量 約1,090kg 約1,190kg 約1,270kg 約1,320kg 約1,380kg 約1,390kg 約1,430kg
新車時価格 約199万円~ 約220万円~ 約283万円~ 約298万円~ 約428万円~ 約450万円~ 約499万円~

シビックタイプR 歴代 人気モデルはどれ?

全ての世代に唯一無二の魅力と熱狂的なファンが存在するため、「どのモデルが一番人気か」という問いに唯一の正解はありません。人気は、時代背景や個人の価値観によって大きく左右されるものです。しかし、中古車市場における価格の動向や、メディアでの露出度、コミュニティの活発さなどから、特に多くの人々から支持を集めているモデルを挙げることは可能です。

特に高い人気を誇る歴代モデル

  • 初代 EK9: 「タイプRの原点」という歴史的価値、現代の車にはない1トンそこそこの軽量ボディ、そしてNAエンジンならではの官能的なフィーリングから、もはや「クラシックカー」の領域に入りつつあり、カリスマ的な人気を誇ります。中古車価格は程度の良い個体では新車時価格を遥かに上回るプレミア価格で取引されています。
  • 3代目 FD2: 「最後のNAタイプR」「唯一のセダンタイプR」という二つの希少性が、このモデルの人気を不動のものにしています。特にサーキット走行を趣味とする層からの支持は絶大で、今なお一線級の戦闘力を持つことから、特定のファン層によって大切に乗り継がれています。
  • 6代目 FK8 / 7代目 FL5: 現代の技術の粋を集めて作られたこの2台は、圧倒的なパフォーマンスと、日常使いを全く犠牲にしない快適性の両立により、幅広い層から人気を博しています。特に現行のFL5は、洗練されたデザインが従来のファン層以外からも支持を集め、その人気は社会現象と化しています。

一方で、2代目EP34代目FN2は、そのユニークなキャラクターから「通好み」のモデルと見なされることがあります。しかし、見方を変えれば、それは「知る人ぞ知る名車」であることの証左です。特にEP3は、優れたパフォーマンスと実用性を持ちながら、他のモデルに比べて比較的手に入れやすい価格帯で推移していることが多く、コストパフォーマンスを重視する賢い選択肢として、近年その価値が見直されています。

あなたに合うシビック タイプr 歴代 型式の選び方

    - VTECエンジン 進化の歴史を紐解く - シビックtype r FK8 FL5 比較と中古選び方 - シビックtype rの維持費と購入後の注意点 - あなただけの一台を見つけるシビック type r 歴代 型式

VTECエンジン 進化の歴史を紐解く

赤く塗装されたヘッドカバーが象徴的なホンダVTECエンジン。タイプRの心臓部である高性能ユニットの精密さが伝わる。

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シビックタイプRのキャラクターを決定づけてきた最大の要素、それはいつの時代も「エンジン」でした。ホンダの代名詞でもあるVTECテクノロジーが、どのように進化し、タイプRの魂を形作ってきたのか。その歴史を3つの世代に分けて、技術的な側面から深く掘り下げていきましょう。

第1世代: B16B - 超高回転型NAの伝説 (EK9)

初代EK9に搭載されたB16Bは、ホンダの「カミソリエンジン」のイメージを決定づけた傑作です。その核心技術であるDOHC VTECは、低速用と高速用で形状(カム山の高さ)の異なる2種類のカムシャフトを、油圧によって切り替える画期的なシステム。

これにより、低回転域では街乗りに十分なトルクを確保しつつ、ひとたびVTECゾーン(約6,000rpm以上)に突入すると、カムが高速用に切り替わり、レーシングエンジンのような爆発的なパワーと吹け上がりを見せました。まさに二つのエンジンが一つのユニットに同居しているかのような、ドラマチックな二面性がドライバーを熱狂させたのです。

第2世代: K20A - i-VTECによるトルクとパワーの調和 (EP3, FD2)

2代目EP3で初採用され、3代目FD2で熟成の域に達したK20Aは、従来のVTEC機構に、吸気バルブの開閉タイミングをエンジンの回転数や負荷に応じて連続的に変化させるVTC(Variable Timing Control)を組み合わせたi-VTECへと進化しました。

このVTCの恩恵により、B型エンジンが構造的に苦手としていた中低速域のトルクが劇的に向上。高回転域のパワーはそのままに、アクセル操作に対するレスポンスが全域で向上し、より扱いやすく、より速いエンジンへと生まれ変わりました。まさに、インテリジェンス(i)を手に入れたVTECと言えるでしょう。

第3世代: K20C - VTECターボによるパワー革命 (FK2, FK8, FL5)

5代目FK2で登場し、現行のFL5にまで受け継がれるK20Cは、タイプRの歴史を塗り替えた革新的なユニットです。ホンダ独自のVTEC技術を、直噴システム電動ウェイストゲートバルブ付きモノスクロールターボチャージャーと融合。

低回転域から強大なトルクを発生させ、NA時代とは比較にならないほどの加速力を実現しました。このエンジンでは、VTECは主に排気側のバルブリフト量を増大させ、ターボラグを低減し排気効率を高めるために機能します。もはや「高回転まで回さないと速くない」というかつての常識は、このエンジンによって完全に過去のものとなりました。

シビックtype r FK8 FL5 比較と中古選び方

現代のシビックタイプRを代表するFK8とFL5。中古市場でも人気のこの2台で迷われている方は非常に多いのではないでしょうか。ここでは、両者の具体的な違いを比較し、さらに歴代モデル全般に共通する中古車選びの重要なポイントを解説します。

【比較表】FK8 vs FL5 主要な違い

FL5はFK8の正常進化モデルですが、その進化の幅は非常に大きいものがあります。特にデザインとシャシー性能の変化は顕著です。

項目 6代目 FK8 7代目 FL5
デザイン アグレッシブで戦闘的 流麗で洗練されたフォルム
最高出力 320PS/6,500rpm 330PS/6,500rpm
最大トルク 40.8kgm/2,500-4,500rpm 42.8kgm/2,600-4,000rpm
リアサスペンション マルチリンク式 マルチリンク式(ジオメトリ最適化)
ホイールベース 2,700mm 2,735mm
インテリア 機能的でスポーティ 質感が大幅に向上、デジタル化

どちらを選ぶかは、何を重視するかで決まります。サーキット走行も視野に入れた過激なスタイリングと、わずかに荒々しさが残る走りを求めるならFK8。一方で、より成熟した乗り味と上質な内外装、そして最新のパフォーマンスを求めるならFL5が魅力的に映るでしょう。

後悔しない!歴代モデル共通の中古選びの鉄則

どのモデルを選ぶにしても、タイプRは通常の乗用車とは異なる特別な車です。その性質上、過去に厳しい使われ方をしてきた個体も少なくありません。後悔しないためには、以下のポイントを必ずチェックしましょう。

中古車チェックリスト【最重要項目】

  • 修復歴の有無と程度: 最も重要な項目です。「修復歴あり」の車両は、車の骨格部分にダメージが及んでいる可能性があります。特にサーキット走行などでクラッシュした車両は、たとえ綺麗に修復されていても、ボディの歪みなど目に見えない問題を抱えている場合があります。信頼できる販売店で、修復の箇所と程度を必ず確認してください。
  • エンジン・ミッションの状態: エンジンを始動し、異音(ガラガラ、カンカンなど)や不自然な振動、白煙や黒煙の有無を確認します。試乗が可能であれば、VTECがスムーズに切り替わるか(NA車)、ターボの過給が正常に行われるか(ターボ車)をチェック。また、MTの各ギアへの入りがスムーズか、クラッチの滑りがないかも重要なポイントです。
  • 改造の度合いと内容: 適度なカスタムは魅力の一つですが、エンジン内部にまで手を入れたハードなチューニングが施されている車両は、寿命が短くなっている可能性があります。どのようなパーツが使われ、どのようなメンテナンスが行われてきたのか、整備記録簿などで確認できる個体が理想的です。
  • 下回りの状態とサビ: 特にEK9やEP3といった古いモデルでは、フロアやサイドシル、サスペンションアーム付け根などのサビは致命傷になりかねません。可能であればリフトアップして、下回り全体の状態を自分の目で確認することをお勧めします。

 

シビックtype rの維持費と購入後の注意点

憧れのシビックタイプRを手に入れた後、現実的な問題として向き合う必要があるのが維持費です。ベースはシビックとはいえ、専用の高性能パーツが多用されているため、通常の乗用車と同じ感覚で考えていると、思わぬ出費に驚くこともあります。

年間維持費の主な内訳

タイプRを所有する上で、主に必要となる年間の維持費は以下の通りです。

  • 自動車税: 毎年4月1日時点の所有者に課税される税金です。排気量によって税額が決まります。
    • 1.6L (EK9): 39,500円/年
    • 2.0L (EP3以降): 43,500円/年

    注意点として、初回新規登録から13年(ガソリン車の場合)を経過した車両は、環境負荷が大きいと見なされ、税額が概ね15%重課されます。詳細は総務省のウェブサイトなどで確認できます。

  • 任意保険: タイプRは車両料率クラスが高めに設定されているため、一般的なシビックと比較して保険料は高額になる傾向があります。年齢や等級によって大きく変動するため、購入前に複数の保険会社で見積もりを取ることをお勧めします。
  • ガソリン代: 全ての歴代モデルで、エンジンの性能を最大限に引き出すために無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)が指定されています。燃費も決して良いとは言えず、特にターボモデルでスポーティな走行をすれば、燃料の消費は激しくなります。
  • メンテナンス費用: 高性能エンジンを保護するため、メーカー推奨の高品質なエンジンオイルを3,000km〜5,000km、または半年ごとのどちらか早い方で交換することが理想的です。また、タイヤやブレーキパッドもグリップ性能や耐フェード性の高いものが装着されており、交換時の費用は一般的な乗用車の数倍になることも珍しくありません。

見落としがちなタイプRならではの部品代

タイプRには、専用設計のサスペンション、ブレーキ、シート、エアロパーツなどが多数使用されています。これらの部品は通常のシビックと互換性がなく、交換が必要になった際の費用は高額になりがちです。特にEK9やEP3といった古いモデルでは、一部の純正部品がすでに廃盤となっており、入手が困難になっているケースもあります。購入を検討する際には、消耗品や故障しやすい箇所の純正パーツ供給状況を、事前に専門店などで確認しておくと、後々の不安を減らすことができます。

あなただけの一台を見つけるシビック type R 歴代型式

  • シビックタイプRは単なる速い車ではなくホンダの情熱と技術が凝縮されたFFスポーツの金字塔である
  • 歴代モデルはそれぞれに明確な個性と開発された時代の思想が色濃く反映されているため優劣では語れない
  • 初代EK9は現代の車が失った軽量ボディと超高回転NAエンジンの官能的な対話が魅力のピュアスポーツ
  • 2代目EP3は英国で生まれ育ったGT性能と優れた実用性を兼ね備えコストパフォーマンスにも秀でた賢者の選択肢
  • 3代目FD2はサーキット最速という使命を背負って生まれたNAエンジン最後の超スパルタンな4ドアセダン
  • 4代目FN2は欧州の道で磨かれたしなやかな足回りと他にはない独創的なデザインが光るタイプRユーロ
  • 5代目FK2はVTECターボを初搭載することでタイプRの歴史にパワー革命という大きな転換点をもたらした
  • 6代目FK8は圧倒的なパワーとマルチリンクサスによる優れたシャシー性能で世界を驚かせたグローバルスポーツ
  • 7代目FL5は洗練されたデザインと成熟した究極の走行性能を両立した現代FFスポーツの最高到達点
  • エンジンはB16Bの官能性、K20Aの万能性、K20Cの圧倒的パワーとそれぞれに異なる魅力を持つ
  • 中古車選びでは価格だけでなく年式に応じたサビや機関の状態など特有のウィークポイントを理解することが不可欠
  • 維持費は税金や保険料に加えハイオク指定の燃料費や高性能な消耗品、専用部品のコストも必ず考慮すべきである
  • 速さ、快適性、デザイン、希少性、そして予算など自分が最も重視する価値基準でモデルを絞り込むことが大切
  • 高回転まで回し切るNAの刺激か、どの回転域からでも加速するターボのパワーか、自分の理想の走りを想像する
  • この記事で得た知識を基にじっくりと時間をかけ、あなたにとって最高の相棒となる一台を見つけ出してほしい
  • この記事を書いた人

旧車ブロガーD

はじめまして! 80~90年代の名車たちへの「憧れ」と、愛車のメンテナンスで得た「機械への敬意」を胸に、誠実な情報をお届けします。

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