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日産の高級車として一時代を築いたセドリックの歴代人気モデルについて知りたい、とお考えではありませんか。
そもそもセドリックとはどのような車だったのか、その歴史や魅力について深く探求したい方も多いでしょう。
この記事では、セドリックの歴代モデル一覧を丁寧に振り返りながら、感動的なセドリックの初代誕生秘話から、刑事ドラマで広く知られるセドリック230の人気の理由、そして豪華装備が魅力だったセドリック330、日本初のターボ搭載で市場に衝撃を与えたセドリック430まで、各世代の物語を詳しく解説します。
さらに、バブル期の象徴ともいえるセドリックY31が巻き起こしたシーマ現象や、最後のモデルY34に至るまでの進化の軌跡も紐解いていきます。
また、よく比較対象となるセドリックとグロリアの違いや、ファンが選ぶセドリック歴代人気ランキングも公開。今だからこそ輝きを放つセドリックの旧車としての魅力、後悔しないための中古車の選び方、避けては通れない維持費の目安、そしてオーナーの個性が光るカスタムスタイルまで、あなたが知りたい情報を網羅的にお届けします。
- 歴代セドリックの各モデルの特徴と歴史
- 特に人気の高いモデルとその理由
- 現代における旧車としての魅力と選び方
- 姉妹車グロリアとの関係性と明確な違い
時代を象徴するセドリック歴代の人気モデル
- そもそもセドリックとはどんな車か
- 写真で見るセドリック歴代モデル一覧
- 国産高級車の原点セドリック初代誕生秘話
- ドラマで活躍!セドリック230人気の理由
- 豪華絢爛!セドリック330の豪華装備
- 日本初のセドリック430ターボの衝撃
- バブルを駆けたセドリックY31とシーマ現象
そもそもセドリックとはどんな車か

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日産セドリックは、1960年の輝かしいデビューから2004年にその歴史の幕を閉じるまでの44年間、合計10世代にわたって生産された、日産自動車の歴史を象徴する高級セダンです。
その歩みは、単なる自動車のモデルチェンジの繰り返しではありません。それは、戦後の焼け野原から奇跡の復興を遂げ、世界有数の経済大国へと駆け上がった日本のモータリゼーション、ひいては経済成長そのものと軌を一にする壮大な物語なのです。
セドリックの歴史を語る上で絶対に欠かせないのが、永遠の好敵手であったトヨタ・クラウンという偉大な存在です。
両車は同じ市場で顧客を奪い合い、常に互いを強く意識してきました。「クラウンがこれをやったなら、セドリックは次でそれを超えなければならない」という気概が、数十年にわたる熾烈な開発競争を生み出しました。
この二大巨頭の切磋琢磨こそが、日本の高級車市場の技術革新、品質向上、そして多様性の発展を力強く牽引してきた原動力であったことは、疑いのようのない事実です。
そして、セドリックが持つ他に類を見ないユニークな点は、その「静」と「動」の二面性に集約されます。
一方では、企業の重役車や官公庁の公用車として、黒塗りのボディを輝かせながらフォーマルな舞台で活躍する、威厳に満ちた「静」のイメージ。他方では、『西部警察』をはじめとする数々の刑事ドラマで、犯人を追跡し、時には横転し、爆破されるパトカーや捜査車両としてお茶の間の記憶に深く刻まれた、堅牢で信頼性の高い「動」のイメージ。
この両極端なキャラクターを併せ持つことで、セドリックは単なる高級車の枠を超え、日本の社会と文化に深く根付いた、特別なアイコンとしての地位を確立したのです。
セドリックの立ち位置まとめ
セドリックは、単なる移動手段としての自動車ではなく、日本の経済成長と共に歩み、クラウンとの絶え間ない競争を通じて技術を磨き上げた、時代を映す鏡です。
フォーマルな高級感と、いかなる過酷な状況にも耐えうるタフネスという二つの顔を持つことこそが、44年もの長きにわたり多くの人々を魅了し続けた人気の根源と言えるでしょう。
セドリック歴代モデル一覧
セドリックが歩んだ44年間の壮大な歴史を、まずは歴代の主要モデル一覧で俯瞰してみましょう。
それぞれの世代がどのような社会的背景のもとで生まれ、いかなる技術的挑戦を経て、どんな個性的な特徴を備えていたのか。
この変遷を知ることで、セドリックという一台の車が持つ進化のダイナミズムを、より深く立体的に理解することができます。
以下の表は、記念すべき初代30型から、その歴史に幕を閉じた最後のY34型まで、各世代の代表的な特徴をまとめたものです。
世代 (型式) | 生産期間 | 主な特徴・トピック |
---|---|---|
初代 (30型) | 1960年-1965年 | 日産初の完全自社開発による中型乗用車。縦目4灯ヘッドライトが極めて斬新だった。 |
2代目 (130型) | 1965年-1971年 | 伊ピニンファリーナによる流麗な欧州調デザイン。名機直列6気筒「L20」を初搭載。 |
3代目 (230型) | 1971年-1975年 | 「セド・グロ」姉妹車戦略を開始。国産初のピラーレスハードトップが絶大な人気を博した。 |
4代目 (330型) | 1975年-1979年 | アメリカンスタイルの豪華で威厳のあるデザイン。厳しい排出ガス規制への対応に苦慮。 |
5代目 (430型) | 1979年-1983年 | 直線的で知的なヨーロピアンスタイルへ回帰。日本初の量産ターボエンジンを搭載。 |
6代目 (Y30型) | 1983年-1987年 | エンジン史の転換点となった日本初の量産V型6気筒「VG型」を搭載。 |
7代目 (Y31型) | 1987年-1991年 | 走りの「グランツーリスモ」を初設定し大ヒット。3ナンバー専用車「シーマ」も登場。 |
8代目 (Y32型) | 1991年-1995年 | 丸目4灯のグランツーリスモが象徴的。バブル期の設計で内外装の質感が極めて高い。 |
9代目 (Y33型) | 1995年-1999年 | 世界的に評価された名機「VQエンジン」を全面採用。走りの質感を新たな次元へ引き上げた。 |
10代目 (Y34型) | 1999年-2004年 | セドリック最後のモデル。無段変速機EXTROID(エクストロイド)CVTなど先進技術を搭載。 |
こうして時系列で並べてみると、各世代が時代のデザイントレンドや技術的なブレークスルーをいかに反映してきたかが手に取るようにわかりますね。
特に、排出ガス規制を乗り越えた430型のターボ、エンジンの小型化・近代化を成し遂げたY30型のV6、そして高級車の価値観を根底から覆したY31型のグランツーリスモは、その後の自動車史の流れを決定づけるほどの大きな転換点だったと言えるでしょう。
国産高級車の原点セドリック初代誕生秘話
初代セドリック(30型)が産声を上げたのは1960年4月のこと。
これは、単なる新型車の登場ではありませんでした。それまで欧米の技術に頼っていた日本の自動車産業が、模倣と学習の時代を終え、独自の技術力で世界に挑むという固い決意を表明した、歴史的な瞬間だったのです。
当時の日産は、英国のオースチン社との技術提携に基づき「オースチンA50ケンブリッジ」をノックダウン生産していましたが、セドリックはその後継車として、設計から生産まで全てを自社で行う初の完全自社開発モデルとして華々しくデビューしました。
その車名「セドリック」は、フランシス・ホジソン・バーネットの小説『小公子』の心優しき主人公の名前に由来します。
この命名には、当時の日本社会が抱いていた欧米文化への憧れと、これから本格化するであろうモータリゼーション時代への明るい希望が色濃く込められていました。
斬新すぎたデザインと市場の反応
初代モデルが市場に与えた最も鮮烈な印象は、そのフロントマスクにありました。縦一列に4つのヘッドランプを配置した「縦目4灯」のデザインは、当時のアメリカ車のトレンドを大胆に取り入れたもので、非常に個性的かつ先進的でした。
しかし、残念ながらまだ保守的であった日本の市場では「奇抜すぎる」と受け止められ、必ずしも好意的な評価を得るには至りませんでした。
市場の声に真摯に耳を傾けた日産は、1962年のマイナーチェンジで、よりオーソドックスで受け入れられやすい横一列配置へとデザインを変更しています。
そして1965年、2代目(130型)へのフルモデルチェンジで、セドリックはデザインの方向性を180度転換します。
その大役を委ねられたのは、フェラーリなどを手掛けるイタリアの世界的な名門カロッツェリアであるピニンファリーナでした。
その結果、130型セドリックは初代のアメリカ的な華やかさから、流麗で洗練されたヨーロッパ的なエレガンスを纏うことに成功。
この国際的なデザイン感覚の導入こそが、セドリックを単なる国産車から、世界水準の高級車へと昇華させる重要な礎となったのです。
ドラマで活躍!セドリック230人気の理由

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セドリックの長い歴史を通じて、商業的に最も大きな成功を収め、また社会的に最も広く認知されたモデルの一つが、1971年に登場した3代目230型です。
この空前の大ヒットは、決して偶然の産物ではなく、時代の潮流を的確に捉えた明確な理由がありました。
最大の成功要因は、皮肉にもライバルであるトヨタ・クラウンの歴史的な失敗にありました。
当時、トヨタが市場に投入した4代目クラウン(MS60系)は、その先進的なスピンドルシェイプ(紡錘形)のデザインから「クジラ」という愛称で呼ばれましたが、あまりにも奇抜で未来的なスタイリングが、高級車のメインユーザーである保守的な顧客層から敬遠され、深刻な販売不振に陥ってしまったのです。
日産はこの千載一遇の好機を逃しませんでした。クジラ・クラウンとは対照的に、当時の世界的なデザイントレンドであった流麗な「コークボトルライン」を持つ、スタイリッシュかつオーソドックスな230型セドリックは、クラウンから離れた顧客の受け皿となり、販売台数を爆発的に伸ばしました。
これは、セドリックがクラウンに勝利した数少ない事例として、今なお語り継がれています。
国産初のピラーレスハードトップが時代の象徴
230型の技術的なハイライトであり、その人気を決定づけたのが、国産車として初めて採用された2ドアおよび4ドアのピラーレスハードトップです。
前席と後席の間の柱であるセンターピラーを取り払ったこの構造は、全てのサイドウィンドウを下げた際に、他に代えがたい圧倒的な開放感と、クーペと見紛うほど流麗なサイドビューを実現しました。
この斬新なスタイルは、自らステアリングを握りドライビングを楽しむ「オーナードライバー」層の心を鷲掴みにし、セドリックのブランドイメージを飛躍的に向上させる原動力となりました。
230型の人気を不動のものとしたもう一つの要因が、テレビドラマでの活躍です。
『大都会』シリーズ、そして特に石原プロモーション制作の『西部警察』といった国民的刑事ドラマにおいて、230型セドリックはパトカーや捜査車両として頻繁に登場しました。
劇中で繰り広げられるカーチェイスや、時には破壊されるシーンを通じて、セドリックの「堅牢で信頼性が高い」というパブリックイメージが、日本中の人々の心に深く刻み込まれていったのです。
豪華絢爛!セドリック330の豪華装備
1975年に登場した4代目330型は、230型の流麗なヨーロピアンスタイルから再び大きく舵を切り、より大きく、より豪華で、威厳に満ちたアメリカンスタイルのデザインを全面的に採用しました。
これは、高度経済成長を経て国民の所得水準が向上し、市場が分かりやすい形での「豪華さ」や「ステータス」を自動車に求めていた時代のニーズに、日産が的確に応えた結果でした。
ボディサイズは230型からさらに拡大され、堂々とした角型2灯式のヘッドライトや、クロームメッキをふんだんに使用した重厚なフロントグリルは、見る者を圧倒するほどの威風堂々とした佇まいを演出。
内装に目を向ければ、体を優しく包み込むようなベロア生地のシート、随所に用いられた木目調パネル、そして充実した快適装備が、まさに「走る応接室」と呼ぶにふさわしい豪華絢爛な空間を創り出していました。
この330型から、最上級グレードとして「ブロアム(Brougham)」の名が初めて冠されたことも、特筆すべき重要な出来事です。
「ブロアム」という響きは、その後20年以上にわたり、セドリックの、ひいては日産の最高級グレードを象徴する特別な名前として受け継がれていくことになります。
排出ガス規制という名の高い壁
一方で、330型が駆け抜けた1970年代後半は、深刻化する大気汚染という社会問題に自動車業界が直面した、苦難の時代でもありました。
特に、昭和53年排出ガス規制(日本版マスキー法)は、当時世界で最も厳しいとされ、各メーカーはその対応に追われました。
日産も「NAPS(ニッサン・アンチ・ポリューション・システム)」と呼ばれる酸化触媒方式の排出ガス浄化システムでこの難局に挑みましたが、その代償としてエンジン本来のパワーは大幅に低下。
その結果、見た目の豪華さとは裏腹に、走行性能の面では「牙を抜かれた」と揶揄されるなど、ほろ苦い評価も伴う世代となりました。
日本初のセドリック430ターボの衝撃

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厳しい排出ガス規制によって失われてしまった「走り」の喜びを取り戻すための切り札として、日産が技術の粋を集めて世に送り出したのがターボチャージャー技術でした。
そして1979年、5代目となる430型へのフルモデルチェンジと共に、日本初の量産ターボエンジン「L20ET」がセドリックに搭載されます。
これは、単なるパワーアップではなく、環境性能と動力性能の両立という難題に挑んだ、日本の自動車史における画期的な技術革命でした。
「パワーを犠牲にすることなく、クリーンな排気を実現する」という、当時矛盾しているとさえ思われた課題を、ターボという過給技術で見事に解決してみせたのです。
「名ばかりのGT達は、道を開ける。」という、ライバル達に対する挑戦的なキャッチコピーは、日産の技術的優位性への自信の表れでした。
430型ターボは、その鮮烈なデビューで市場に絶大な衝撃を与え、1980年代へと続く日本のパワー競争時代の幕開けを堂々と告げる一台となったのです。
デザインと快適性における飛躍的な進化
デザイン面においても、430型は大きな転換点を迎えます。
330型が持っていたアメリカンな豪華絢爛さから一転し、シャープで直線的なラインを基調とする、クリーンで知的なヨーロピアンスタイルへと回帰しました。
特に、リアのCピラーに上品な小窓を設けた「6ライトウィンドウ」のデザインは、室内の明るさと開放感を高めると同時に、430型の理知的な個性を強く印象づけています。
また、乗り心地も目覚ましい進化を遂げました。
リアサスペンションが、長年使われてきた旧来のリーフスプリング(板バネ)から、格段に乗り心地と路面追従性に優れるコイルスプリングを用いた5リンク式リジッドアクスルへと変更されたのです。
これにより、走行安定性と快適性は飛躍的に向上し、セドリックは高級車にふさわしい、より洗練された走り Getafe.ました。
バブルを駆けたセドリックY31とシーマ現象

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1987年、日本の経済が空前の好景気、いわゆるバブル経済の頂点へと駆け上がっていく中で、セドリックの44年の歴史を根底から変える、真に革命的なモデルが登場します。それが、7代目となるY31型です。
Y31型の最大の功績は、それまで長年にわたり定着していた「セドリック=後席に乗るためのショーファードリブンカー」という固定観念を打ち破り、「オーナー自らが積極的にハンドルを握り、運転そのものを楽しむためのドライバーズカー」という、全く新しい価値観を日本の高級車市場に確立した点にあります。
この大胆な変革を鮮やかに象徴したのが、新たに追加設定されたスポーティシリーズ「グランツーリスモ」の存在でした。
グランツーリスモの誕生という革命
伝統的な豪華仕様である「ブロアム」系が、クロームメッキの荘厳なグリルや豪華な内装で快適性を追求したのとは対照的に、「グランツーリスモ」は全く異なるアプローチを取りました。
精悍なブラックアウトされたメッシュグリル、硬めに締め上げられた専用サスペンション、そして日産初のDOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)ターボエンジンである「VG20DET」がもたらすパワフルな走り。
その全てが、ドライバーズカーとしての性能を徹底的に追求したものでした。この明確なキャラクター分けが、旧来の価値観にとらわれない新しい富裕層から熱狂的な支持を集め、記録的な大ヒットとなったのです。
Y31グランツーリスモの成功が与えたインパクトは絶大で、ライバルのクラウンが慌ててスポーティグレード「アスリート」を誕生させるきっかけとなりました。
つまり、Y31は日本の高級セダン市場全体のパラダイムシフトを引き起こした、真のゲームチェンジャーだったのです。
さらに、Y31型の派生モデルとして、より大型の3ナンバー専用ボディを持つ「シーマ」が登場します。
当時の「大きいこと、高価なことが良いこと」とされた世相を完璧に捉えたシーマは、高価格にもかかわらず飛ぶように売れ、その爆発的なヒットは「シーマ現象」という流行語を生み出す社会現象にまで発展しました。
これもまた、バブル時代を象徴する出来事として記憶されています。(出典:日産自動車ニュースルーム「セドリック・グロリアに3000cc V型6気筒ツインカム・ターボエンジン搭載車を追加」)
現代におけるセドリック歴代の人気の魅力
- 姉妹車セドリックとグロリアの違いを解説
- オーナーが選ぶセドリック歴代人気ランキング
- 今なお人々を惹きつけるセドリック旧車の魅力
- 失敗しないセドリック中古車の選び方
- 総括・セドリック歴代人気の秘密に迫る
姉妹車セドリックとグロリアの違いを解説

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セドリックの歴史を語る上で、その半身とも言える姉妹車「グロリア」の存在は決して切り離せません。
1966年の日産とプリンス自動車の合併を経て、1971年の230型から最後のY34型に至るまで、両車は基本設計を共有する兄弟車として、時に競い、時に協力しながら、共に日本の高級車市場を牽引してきました。
では、具体的に両者の違いはどこにあったのでしょうか。
結論から先に言えば、その違いは主に①エクステリア(外装)を中心としたデザインの差別化と、②取り扱い販売チャネル(販売店系列)の2点に集約されていました。
エンジンやシャシー、内装の基本骨格といったメカニズム部分は共通のものが使われていたのです。
デザインの傾向としては、セドリックが縦基調のグリルなどでフォーマルかつ伝統的な高級感を演出することが多かったのに対し、グロリアは横基調のグリルや丸目4灯のテールランプ(Y32型など)を採用することで、より若々しくスポーティ、そして先進的なイメージが与えられることが一般的でした。
セドリックとグロリアの主な違い
項目 | セドリック (Cedric) | グロリア (Gloria) |
---|---|---|
出自 | 元からの日産生え抜きの車種。 | 元々はプリンス自動車の最高級車。合併により日産ブランドへ。 |
販売チャネル | 日産店(ブルーバードなどが中心の系列) | プリンス店(スカイラインなどが中心の系列) |
フロントグリル | 縦基調のデザインが多く、威厳や風格を重視する傾向。 | 横基調のデザインが多く、スポーティさや先進性を重視する傾向。 |
テールランプ | 比較的、落ち着いたコンサバティブなデザイン。 | スカイラインを彷彿とさせる丸型4灯など、スポーティなデザインが採用されることも。 |
エンブレム | 独自のエンブレム(例:王冠をモチーフにしたものなど)を使用。 | 独自のエンブレム(例:Pマークをモチーフにしたものなど)を使用。 |
ターゲット層 | 比較的、年齢層が高めで伝統を重んじる保守的なユーザー。 | 比較的、新しい価値観を求める若々しく革新的なユーザー。 |
ただし、これはあくまで大まかな傾向に過ぎません。
モデルチェンジの時期によっては両者のデザイン差が非常に小さい場合もありました。
基本性能は同じだったため、最終的には「どちらの『顔』がより自分の好みに合うか」という、デザインの嗜好によって選ばれることが多かったようです。
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オーナーが選ぶセドリック歴代人気ランキング
44年という長い歴史の中で、数多くの個性的なモデルを生み出してきたセドリック。
その中で、現代の旧車ファンやオーナーから特に高い人気を集めているのはどの世代なのでしょうか。
ここでは、中古車市場での需要の高さや、専門誌、オーナーズクラブなどでの評価を総合的に判断し、独自の人気ランキング形式で特に輝きを放つモデルをご紹介します。
第1位:Y31型(特にグランツーリスモ)
やはり不動の人気を誇るのが、日本の高級セダンの歴史を変えた革命児、Y31型です。
中でも、走りの楽しさを前面に押し出した「グランツーリスモ」は、今なお多くのファンを魅了し続けています。
バブル期に開発されたことによる高品質な内外装、現代の交通事情でもストレスなく通用する走行性能、そして何よりそのスタイリッシュなデザイン。
この三拍子が揃ったバランスの良さが、ネオクラシックカーとして圧倒的な支持を集める理由です。
第2位:230型
古き良き時代のクラシカルな魅力で、根強い人気を持つのが230型です。
抑揚の効いた流麗な「コークボトルライン」のスタイリングと、ピラーレスハードトップがもたらす唯一無二の開放感は、このモデルでしか味わえない特別な世界観を持っています。
旧車イベントなどでも常に注目の的となる存在感を放ち、その希少性と文化的価値から中古車価格も着実に上昇傾向にあります。
第3位:430型
「日本初の量産ターボ車」という、自動車史に燦然と輝く称号を持つ430型も、非常に人気の高いモデルです。
80年代の幕開けを象徴する直線的でクリーンなデザインは、40年以上経過した今見ても古さを感じさせません。
特にターボモデルは、当時の最先端技術を五感で体感できるという点で、多くの自動車マニアからリスペクトを集めています。
もちろん、これはあくまで人気の一つの指標に過ぎません。
アメリカンな雰囲気が魅力の威風堂々とした330型や、バブル期の圧倒的な質感の高さでY32型を最高傑作と推すファンも数多く存在します。
どの世代にも、そのモデルでなければならないという熱狂的なオーナーがいることこそ、セドリックという車の奥深さの証明ですね。
今なお人々を惹きつけるセドリック旧車の魅力

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2004年に生産を終了してから長い年月が経過した現代においても、なぜセドリックは「旧車」として多くの人々の心を捉え、惹きつけてやまないのでしょうか。
その魅力の根源は、単に過去を懐かしむノスタルジーだけでは説明がつきません。
第一に、各世代が持つ、時代を色濃く反映した明確な個性とデザインが挙げられます。
例えば、230型が持つ70年代の自由な空気感を体現した流麗さ、330型の経済成長期の自信に満ちた威厳、430型の80年代の知的な雰囲気、そしてY31型が持つバブル期の高揚感。
それぞれのモデルが、その時代の社会や文化の空気を色濃く纏っています。効率と合理性が追求される現代の工業製品にはない、こうした強いキャラクター性と「物語性」が、大きな魅力となっているのです。
第二に、五感に訴えかける、現代の車にはない乗り味とフィーリングです。
特に、日産の傑作と名高いL型直列6気筒エンジンを搭載したモデルのスムーズで官能的な回転フィールや、V6ターボエンジンがもたらす背中を押されるような力強い加速感は、効率や燃費、静粛性が最優先される現代の車では味わうことのできない刺激的な感覚です。
デジタル制御に頼らない、機械としてのダイレクトな手応えやエンジン音が、忘れかけていた「クルマを操る」という根源的な楽しさを再発見させてくれます。
そして最後に、維持していくプロセスそのものが喜びとなる「趣味性」の高さも、旧車の大きな魅力の一つです。
確かに、部品の調達に苦労したり、予期せぬトラブルに見舞われたりすることもあります。
しかし、そうした困難を知識と情熱で乗り越え、信頼できる仲間や整備士と協力しながら愛車を最高のコンディションに保つという達成感は、何物にも代えがたい、旧車オーナーだけに許された特権的な喜びと言えるでしょう。
失敗しないセドリック中古車の選び方

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多くの魅力に溢れるクラシック・セドリックですが、実際に中古車として購入を検討する際には、現代の車選びとは全く異なる視点での、慎重なチェックが不可欠です。
ここでは、購入後に後悔しないための、最低限押さえておくべき選び方のポイントを詳しく解説します。
全世代共通の最重要チェックポイント:錆(サビ)との戦い
旧車選びにおいて、最大の敵、そして最も注意すべきは「錆」です。
特に、ホイールアーチ(タイヤハウスの縁)、サイドシル(ドア下のボディ部分)、フロアパネル、そして車の骨格であるフレームといった構造部分に発生した深刻な腐食は、修理に莫大な費用がかかるだけでなく、最悪の場合、安全性に関わるため修理不可能と判断されるケースさえあります。
塗装が不自然にプクッと浮いている箇所や、パネルとパネルの間の隙間が均一でない場合は、その下に錆を隠すためのパテ埋め補修がされている可能性が高いです。購入前には必ず専門家による下回りのチェックを徹底しましょう。
外装・内装部品の欠品は致命的
旧車の世界では、「機械は直せても、内外装の欠品は探せない」という格言があります。
メッキパーツやエンブレム、ライト類、そして内装のトリムやスイッチ類といった専用部品は、そのほとんどがメーカー廃番となっており、入手は極めて困難です。
状態の良い中古部品を探すか、ワンオフで製作するしかなく、多大な時間と費用を要します。機関系の状態はもちろん重要ですが、それ以上に内外装のオリジナル部品がきちんと揃っている個体を優先して選ぶことが、後々の苦労を減らすための重要な鉄則です。
世代別のウィークポイントと確認事項
- 230/330/430型 (L型エンジン搭載車): L型エンジン自体は非常に頑丈で耐久性がありますが、キャブレターの不調によるアイドリングの不安定や、経年劣化したゴム製の真空ホース類からのエア吸い、そして旧式の電気系統の接触不良は定番のトラブルです。何よりもボディの錆の状態を最優先で確認することが重要です。
- Y30/Y31/Y32型 (VGエンジン搭載車): この世代に搭載されているVGエンジンはタイミングベルトを使用しているため、過去の交換履歴が整備記録簿で明確に確認できる個体を選ぶのが絶対条件です。交換を怠るとエンジンに致命的なダメージを与えます。また、この時代の車種に共通の弱点として、パワーウィンドウレギュレーターやエアコンのコンプレッサーといった電装品の故障も頻発します。
- Y33/Y34型 (VQエンジン搭載車): VQエンジン自体は非常に信頼性の高い名機ですが、点火コイルやエアフローメーターといった補機類のセンサーが経年劣化で故障しやすい傾向にあります。また、多機能なマルチAVシステムは、一度故障すると修理がほぼ不可能に近いため、できることであれば非装着のシンプルなグレードを選ぶのが賢明とされています。
メーカーである日産も、旧車ファン向けに一部の部品を再生産する「NISMOヘリテージパーツ」という活動を行っていますが、対象車種や部品はまだ限定的です。
いずれの世代を選ぶにせよ、旧車に対する深い知識と経験を持つ、信頼できる販売店や整備工場を「主治医」として見つけておくことが、セドリックとのカーライフを成功させる最も重要な鍵となります。
総括・セドリック歴代人気の秘密に迫る
- セドリックは日産を代表する高級セダン
- 44年間で10世代にわたり生産された
- ライバルは常にトヨタのクラウンであった
- フォーマルとタフネスの二面性を持つ
- 初代は日産初の完全自社開発モデル
- 230型はピラーレスハードトップで大人気に
- 刑事ドラマでの活躍も人気を後押しした
- 330型はアメリカンな豪華デザインが特徴
- 430型で日本初のターボエンジンを搭載
- Y30型で日本初のV6エンジンを採用
- Y31型は走りのグランツーリスモを新設定
- グランツーリスモは日本の高級車の概念を変えた
- 姉妹車グロリアとは主にデザインと販売店が違う
- 旧車選びでは何よりも錆のチェックが最重要
- 各世代のウィークポイントを理解して選ぶことが大切